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[トップ選手のリアル]南野拓実「リバプールに来たから見えたもの、を伝えたい」
posted2022/05/07 07:05
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
「拓実が世界最高の環境で日々トレーニングして戦っていることを、本人も周りの人たちも忘れないでほしいと思います。あのプレミアの厳しい環境で、優勝争いをするチームで日々戦えていることは、成長することを考えたときには大きなアドバンテージだから」
マンチェスター・ユナイテッドが最後にプレミアリーグで優勝したときのメンバーである香川真司は先日、そう語った。
今シーズンのヨーロッパクラブランキングで首位に立つリバプール(以下のデータは全て、チャンピオンズリーグ準々決勝終了時)。そんなクラブに所属し、日本代表で10番を背負うからこそ、南野拓実はメディアから繰り返し問われる。
「試合出場が少ないですけど、コンディションは大丈夫ですか?」
「試合勘は問題ないですか?」
昨シーズンまでなら「確かにプレー時間は短いですけど……」と口ごもることもあった。だが、そうした質問への反応は、この1年で大きく変わった。
「自分が成長しているという手応えを感じていますから。それがないと、心が折れてしまいますよ」
では、どうやって成長の手ごたえをつかんでいるのか――。その話には前提がある。プレミアリーグは選手が成長するためのリーグではなく、成長した選手が集まるリーグだということだ。大会と試合数が多いからこそ、練習が少なくなってしまい、試合にコンスタントに出られない選手が成長するための環境が十分ではない。リバプールのように、国内リーグに加え、チャンピオンズリーグ、FAカップ、リーグカップで勝ち進むチームならばなおさらそうだ。南野は笑う。