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愛され助っ人・エルドレッドが語る“鈴木誠也の衝撃”「両手とも水ぶくれに覆われていた」「セイヤに言葉の壁はない」 

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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photograph byGetty Images

posted2022/05/02 11:04

愛され助っ人・エルドレッドが語る“鈴木誠也の衝撃”「両手とも水ぶくれに覆われていた」「セイヤに言葉の壁はない」<Number Web> photograph by Getty Images

広島カープ時代の同僚で、名助っ人としてファンに愛されるブラッド・エルドレッド氏にインタビュー。鈴木誠也の活躍をどう見る?

エルドレッド 本当に最高の仲間でしたから。彼は歳上の私をパパと呼んでいたのですが、こんなことも言っていました。「エルドレッドの娘さんと結婚して本当の息子になる。そしていつか一緒に暮らすんだ」って(笑)。もちろん冗談ですが。

 僕がカープに加入した翌年(2013年)に誠也が入団しました。その時彼はまだ18歳で、「このヤングボーイは誰だ」って驚きましたよ。でも周りのベテラン選手たちはすぐに彼の力に気づきました。必ずやスターになると。その頃から冗談好きな明るいキャラクターでしたが、一方で練習量もずば抜けていました。

若き日の誠也の姿…「両手とも水ぶくれに」

――たしかに野球に対してストイックな印象があります。

エルドレッド 今でも鮮明に覚えているのが、日南キャンプでひたすら素振りとティーバッティングをしている姿。手を見たら両手とも水ぶくれに覆われていた。やりすぎもよくないだろうと思って、「キャンプは長いから無理しないほうがいいんじゃないか」と言ったんです。だけど彼は「大丈夫です」と。それこそが彼のメンタリティなんだと思いました。あの努力が今の活躍を支えていると思うと感慨深いですね。

 ただ普段は冗談好きの若者です。彼がブレイクした2016年、いい成績を残して風格も出てきてね。だからバッティング練習の前に冗談で「僕のグラブにサインをください」って言ったんです。そしたら本当に書いてくれて。同年残りの試合は、誠也の“変なサイン”が書かれたグラブを使ってました。

――そうした明るいキャラクターはアメリカに馴染む上で大きな力になりそうですね。エルドレッドさんは日本とアメリカという2つの国で野球をしたわけですが、どんな違いがあるものですか。

エルドレッド これは文化的なところかもしれませんが、日本は直接的な表現をあまりしない国ですよね。たとえばコーチから「この練習をやってみたいですか?」と聞かれたとします。でもそれは意向を聞いているというよりは、コーチからしたら「やってください」という意味の場合もあって。

【次ページ】 今年、アメリカで再会したら…

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