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愛され助っ人・エルドレッドが語る“鈴木誠也の衝撃”「両手とも水ぶくれに覆われていた」「セイヤに言葉の壁はない」 

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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posted2022/05/02 11:04

愛され助っ人・エルドレッドが語る“鈴木誠也の衝撃”「両手とも水ぶくれに覆われていた」「セイヤに言葉の壁はない」<Number Web> photograph by Getty Images

広島カープ時代の同僚で、名助っ人としてファンに愛されるブラッド・エルドレッド氏にインタビュー。鈴木誠也の活躍をどう見る?

エルドレッド その違いはありますね。ただ誠也の場合、日本でも外国人投手と多く対戦しているし、オリンピックをはじめ国際試合も経験している。だからそこに戸惑うことはない気がします。

――印象的だったのが本拠地リグレー・フィールド(シカゴ)での開幕戦。鈴木選手は1打席目で昨季サイ・ヤング賞獲得のコービン・バーンズ投手と対戦した際、際どいボールをすべて見送り、四球を奪いました。地元ファンから早く認められたいと打ち気になりそうなところを、一球も振らずに見極めた。その落ち着きと選球眼の良さに驚かされました。

エルドレッド まあ、あれが誠也じゃなくて“エルドレッド”だったら振り回していただろうね(笑)。彼はボールが来たときに軌道を本能的にイメージできる打者だと思います。つまり、ヒットにできるかできないかを瞬時に察知できる。だからボール球を落ち着いて見送れる一方、甘い球は見逃さないんです。

――なるほど。また鈴木選手は、オープン戦で足を上げる打撃フォームから上げない形に変えましたよね。それも大きかったように思うのですが、エルドレッドさんもMLBでは足を上げないフォームがいいと思いますか。

エルドレッド そうですね。日本と違ってアメリカでは、ピッチャーに一定の静止時間がない。セットポジションからすぐに投げたり、相手のタイミングをずらすためにテンポを変えたり。「間」がない、とも言えると思います。だから足を上げる打者は投手からするとタイミングを外しやすい。私自身、投手のテンポに対応できるように、足は上げず前に短くステップするフォームでした。

カープ時代の思い出「いつか一緒に暮らすんだ、って(笑)」

――そのあたりの適応力、柔軟性もいまの成績につながっているんでしょうね。

エルドレッド MLBでは新人ですが、打席での振る舞いや技術の高さはベテランのそれですからね。カブスという球団もすごく合っていたと思います。僕のなかでカープに重なる球団。歴史があって温かい地元ファンを持つチームなんです。誠也はあのやんちゃな性格も含めて、ファンから愛されると思いますよ。

――お二人の関係といえば2017年のリーグ優勝時、当時右足首を骨折していた鈴木選手をエルドレッドさんがおんぶして、スタンドのファンに挨拶したシーンを覚えています。

【次ページ】 若き日の誠也の姿…「両手とも水ぶくれに」

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