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“武兄弟の夢”を打ち砕いた桜花賞馬スターズオンアースは「オークスでも勝ち負け」か…“本命馬でGI3連敗”横山武史の奮起にも期待
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2022/04/11 11:45
武豊が騎乗するウォーターナビレラとの大接戦を制したスターズオンアースと川田将雅。その血統背景からオークスでも好走が期待される
「本命馬で3連続馬券外」横山武史は奮起できるか
一方、後方のまま終わってしまったナミュールはどうしたのだろう。不安視されていたスタートを無難にこなし、サークルオブライフの外に併せて、特に大きなコースロスもなく直線に向いたのに、伸びなかった。
横山が「スムーズすぎるより、馬群でじっとする競馬のほうがいいのかな」とコメントしていたように、道中、気分よく行きすぎるより、前が詰まってカッカしながら脚を溜めたほうがいい馬なのかもしれない。牝馬のダービー馬ウオッカがその典型だった。
これで横山は、高松宮記念のレシステンシア(6着)、大阪杯のエフフォーリア(9着)につづき、3週連続キャロットファームの本命馬で敗戦を喫してしまった。
今週の皐月賞では、1番人気にはならないだろうが、ホープフルステークスを制したキャロットファームのキラーアビリティに騎乗する。若武者の奮起に期待したい。
驚きの掲示板ゼロ…「ノーザンファーム一強」に揺らぎ?
スターズオンアースを管理する高柳瑞樹調教師にとって、これが重賞2勝目で、GI勝利は初めて。昨年のチャンピオンズカップを制したテーオーケインズを管理する弟の高柳大輔調教師にGI勝ちでは先を越されていたのだが、開業12年目のここで先にクラシックを制して兄の面目を保った。
また、オーナーの社台レースホースにとっては、ソウルスターリングで制した2017年のオークス以来のGI優勝で、桜花賞は歴代トップの4勝目。生産者の社台ファームにとっては、16年ジュエラー以来の桜花賞6勝目となった。
今回はノーザンファームの生産馬が掲示板に1頭も載らないという、最近のGIでは珍しい結果となった。出走していた6頭のうち5頭が6、7、8枠に入ったことも響いたのだろうか。GIでは、生産馬が出走していなかった昨年のフェブラリーステークス以来、クラシックでは2014年の菊花賞以来の「掲示板ゼロ」となった。だからといって、「ノーザンファーム一強」の潮目が変わったわけではもちろんないが、枠などの条件で逆転するほどの差でしかない、と見ることもできる。
今週末の皐月賞では、イクイノックス、ドウデュース、ダノンベルーガ、そして前述したキラーアビリティら、ノーザンファーム生産馬が上位人気を占めそうだ。桜花賞のように、ほかの勢力による一発があるか。注目したい。