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“2強”が大外8枠に…“マイナス材料”になる馬は? かつて武豊が「これほど嫌なレースはない」と語った桜花賞で今年も波乱が起きるのか
posted2022/04/09 11:01
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
先々週の高松宮記念、先週の大阪杯につづく波乱となるのか。それとも、本命サイドが順当に上位を占めるのか。
デリケートな乙女たちが覇を競う、第82回桜花賞(4月10日、阪神芝外回り1600m、3歳牝馬GI)が近づいてきた。
桜花賞の予想をするとき、毎年決まって思い出される言葉がある。このレースで歴代最多の5勝を挙げている武豊の言葉だ。
「毎年必ず、抜きん出て強い馬がいるでしょう。でも、それもアテにならない。自分がそういう馬に乗るとき、これほど嫌なレースはないですよ」
聞いたのは、直線の長い現在のコースで行われるようになった2007年より前なのだが、今でもこの言葉は生きている。
3歳のこの時期は人間で言うと高校3年生くらいの多感な時期で、しかも、繊細な牝馬同士の争いだ。みなキャリアが浅いし、フケ(発情)が来る季節でもある。騎手が「さあ行こう」とゴーサインのステッキを入れたとたん走るのをやめようとすることもあるのが3歳牝馬の乙女たちなのである。
トライアルを圧勝したナミュール
といったことを頭にいれてもなお、今年の桜花賞は、本命サイドでおさまりそうな気がする。
1番人気に支持されるのは、トライアルのチューリップ賞を勝ったナミュール(父ハービンジャー、栗東・高野友和厩舎)だろう。
クリスチャン・デムーロを背に、1番人気で迎えた昨年の阪神ジュベナイルフィリーズでは出遅れが響いて4着。年明け初戦となった前走のチューリップ賞では横山武史を新たな鞍上に迎えた。好スタートから中団の内に控え、直線で前が壁になる局面はあったが、ラスト300m付近で進路ができると一気に伸びて、2着を1馬身半突き放した。
本番と同じコースで叩き出した1分33秒2という時計も優秀。ここを使って状態はさらに上向き、最終追い切りでは横山が騎乗して感触を確かめた。