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“武兄弟の夢”を打ち砕いた桜花賞馬スターズオンアースは「オークスでも勝ち負け」か…“本命馬でGI3連敗”横山武史の奮起にも期待
posted2022/04/11 11:45
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
高松宮記念、大阪杯につづいて、またも本命馬が敗れる波乱の結末となった。
クラシックの皮切りとなる第82回桜花賞(4月10日、阪神芝外回り1600m、3歳牝馬GI)で、川田将雅が騎乗した7番人気のスターズオンアース(父ドゥラメンテ、美浦・高柳瑞樹厩舎)が優勝。重賞初勝利で、見事、桜の女王の座についた。
1番人気に支持された横山武史のナミュールは10着、2番人気の2歳女王サークルオブライフは4着に敗れた。
“武兄弟の夢”を打ち砕いたスターズオンアース
ゴールまで残り200mを切ったところで武豊のウォーターナビレラが先頭に躍り出た。左ステッキを振るう武が、弟の武幸四郎調教師の管理馬で、自身の最多記録を更新する桜花賞6勝目をもぎ取るのは確実かと思われた。
しかし、次の瞬間、2馬身ほど後ろから、馬群をこじ開けたスターズオンアースが猛然と伸びてきた。手綱を投げ出すように追う川田のアクションで四肢を伸ばすスターズオンアースが1完歩ごとに差を詰め、粘るウォーターナビレラに並びかけたところがゴールだった。
内のウォーターナビレラか、外のスターズオンアースか。肉眼では判別できないほどの僅差だったが、スターズオンアースが鼻差だけ前に出ていた。
勝ちタイムは1分32秒9。
スターズオンアースにとって、これがキャリア6戦目。勝ち鞍は昨秋の2歳未勝利戦だけで、重賞では2走前のフェアリーステークスと前走クイーンカップの2着が最高だったが、初めての重賞勝ちがクラシックという大仕事をやってのけた。
テン乗りでGIを獲らせた川田はこう振り返る。
「ポテンシャルの高さと、乗り難しいところも感じる追い切り内容だったので、上手く誘導することができれば、持っている高い能力を使えると思っていました。(レースでは)前半から思っていたより進んで行けなかったので、無理せず、この馬がリズムよく走れるよう道中を運びました。(直線では)スペースも狭く、他馬と接触しながらも、強い気持ちで最後まで走り切ってくれたことが勝ち切ることにつながりました」
前半800m通過が46秒8と、レコード決着となった昨年より1秒6も遅く、道中、先頭から最後方まで10馬身もなかったことが示すように、桜花賞にしては比較的ゆったりと流れた。