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野球クロスロードBACK NUMBER
《センバツ》“ビッグ4”長打ゼロの麟太郎・真鍋・佐倉、甲子園デビューで見えた“未熟さ”とは? 残した言葉は「センスがない」「対応力がない」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/04/05 17:25
花巻東のスラッガーを旗頭とした「2年生ビッグ4」のバッターたちは、甲子園で未熟さを突きつけられた
「甲子園では2年生のほうが注目されているんで、『2年生なんかに絶対に負けてられない』と思いながら投げました」
九国大付・佐倉も長打は出ず…
九州国際大付の2年生4番で「ビッグ4」のひとり、佐倉侠史朗は大会注目の最速148キロ右腕に苦しめられた。延長10回にサヨナラ犠牲フライと最低限の仕事を果たしたが、辻田の前に4打数ノーヒット、2三振。「変化球で勝負してくると思っていましたが、ストレートで押されてタイミングが合わなかったことが反省です」と自分を戒めていた。
この試合では長打を意識するあまり、「バットが下から出て大振りになっていた」という。2回戦までに、右足の上げ方などのタイミングの取り方を修正し、同じ「ビッグ4」真鍋のいる広陵との試合では3安打。しかし、その全てが単打だった。
佐倉は「後ろにいいバッターが揃っているんで繋ぎの意識で」と軽打に切り替えたわけだが、「まだ本調子じゃない」とも言っていた。つまり、先発の森山陽一朗をはじめ、全国屈指の安定感を持つ広陵投手陣に対し、そうせざるを得なかったのが実情だった。
準々決勝の浦和学院戦でも、8回に一時同点となるタイムリーを逆方向のレフトへ放ち対応力の高さを見せた。「ビッグ4」で最も甲子園の打席を経験した2年生スラッガーは、「センバツの先」を見据えるように言った。
「外野の間を抜けるような打球を増やしていかないといけませんし、持ち味の長打をもっと打つためには、甘いボールや狙ったボールを初球からしっかり振っていかないと、高みには行けないと思いました」
全国レベルを知った3人、夏こそは…
花巻東の佐々木麟太郎、広陵の真鍋慧、九州国際大付の佐倉侠史朗。「2年生ビッグ4」と呼ばれる強打者は、全国が待ち望んだ豪快なアーチを甲子園で描けなかった。それどころか、3人とも長打すらなかった。
しかし、彼らは甲子園で、全国でもトップクラスのボールをその目に焼き付けた。
経験は、夏に必ずや生かされる。
花巻東の佐々木が涙ながらに掲げた約束。それはきっと、「ビッグ4」の総意である。
「今度こそ、勝負で決められるバッターになって甲子園に戻ってきたい」 (ビッグ4投手編につづく)
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