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野球クロスロードBACK NUMBER
《センバツ》“ビッグ4”長打ゼロの麟太郎・真鍋・佐倉、甲子園デビューで見えた“未熟さ”とは? 残した言葉は「センスがない」「対応力がない」
posted2022/04/05 17:25
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Hideki Sugiyama
不甲斐ない。センスがない。
初めての甲子園で快音を響かせられず初戦で姿を消した花巻東のスラッガー、佐々木麟太郎は低いトーンでこのセリフを繰り返していた。
麟太郎に立ちはだかった大会No.1右腕
昨年12月、腕や手に痺れなどが出ると言われる胸郭出口症候群のため両肩を手術。3月に対外試合が解禁されてからセンバツまでに通算ホームランを56本まで伸ばしたとはいえ、佐々木の状態は100%ではなかっただろうし、何より初戦の相手が悪かった。
市和歌山のエース・米田天翼は最速149キロを誇り、「大会ナンバーワン」の呼び声もある右腕。さらに相手バッテリーには、「左バッターにはチェンジアップが多くなるだろう」という予測の裏をかかれる結果となった。
米田が強気の姿勢をこう口にしていた。
「佐々木君はホームランのあるバッターなので、気持ちで押し切るのが大事だと思っていました。速いボールを見せて、詰まらせようと試合前から対策を立てていました」
佐々木は5回打席に立ち、2三振、1死球でノーヒットだった。菊池雄星、大谷翔平というスターの系譜を継ぐ花巻東の新怪物はしかし、フルスイングで米田に真っ向勝負を挑んだ。
「対応が遅れセンスのなさを感じました」
試合後には自らを卑下する言葉が並んだが、そこには一切、言い訳がなかった。
「『高めに甘く入ったストレートを捉えよう』という意識はありましたが、対応が遅れセンスのなさを感じました。自分が打てなかったことへの不甲斐なさしかなくて。米田投手は素晴らしいピッチャーでしたけど、自分が結果で貢献できなくて責任を痛感しています」
東北地区は年々レベルを上げてきているとはいえ、今年に関しては米田クラスのピッチャーはいない。佐々木にとって彼は、公式戦では初めてといっていいほどの「全国レベル」であり、高い壁として立ちはだかった。
それは、佐々木にだけ言えることではない。