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年間290試合、400投球回! 草野球愛をこじらせ“プロ助っ人”化した山下さんのポリシーは「遅刻しない」《あなたは“3番地”を知っているか》 

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田澤健一郎

田澤健一郎Kenichiro Tazawa

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photograph byKenichiro Tazawa

posted2022/04/05 11:00

年間290試合、400投球回! 草野球愛をこじらせ“プロ助っ人”化した山下さんのポリシーは「遅刻しない」《あなたは“3番地”を知っているか》<Number Web> photograph by Kenichiro Tazawa

助っ人業を続けるなかで山下さんのバッティングも向上。「助っ人の打順は、気を遣ってたくさん打席が回ってくる上位に置くチームもあれば、絶対、下位にしか置かないチームもあります(笑)」という

 試合の行方を大きく左右するピッチャー。一般的なレベルの草野球の場合、抜きん出て高い実力を持つ投手が一人いれば、試合の勝敗がほぼ決してしまうことも多い。打線が手も足も出ないと面白くない、ということで「投手の助っ人はNG」といったルールが設けられている私設リーグもある。だからだろうか、実力関係なく、草野球界には「ピッチャーくらいは自チームから」といった雰囲気があるのも確かだ。

「その点、気心も知れた仲間がいる所属チームなら、投手はもちろん、左利きの自分でも内野をやってみたいとか、希望をいろいろと言いやすいんですよ」

 かくしてチームに所属するようになった山下さん。最近は願いがかない、投手として出場する試合も増えた。

「おかげさまで去年なんて年間400イニングは投げましたよ」

 ……ちょっと待ってください。昨年のプロ野球と比較すると最多イニング登板の山本由伸(オリックス)でも193.2イニングなんですが……400イニングって何試合やっているんですか!

「新しく所属したチームは4チームあるのですが、とにかく試合を組むチームでして、年間を通してオフもなし。助っ人業と合わせて昨年は約290試合に参加しました。全部予定通りに行えていれば年間350試合はいったんじゃないですかね。雨で1日4試合潰れたりもしますから」

秘訣は手打ちうどん

 消化した試合だけでプロ野球のレギュラーシーズン試合数の約2倍! 「プロ助っ人」を卒業し、今は「プロ草野球選手」と呼びたい山下さんである。

「野球って年齢を重ねても若い選手と対等に勝負できるのが楽しい。ボールが遅くても打ち取れるし、他はダメでも打撃だけは衰えていないおじさん選手もいる。サッカーやテニスだと、そうはいかないでしょう。僕も今年で50歳になりますが、野球は死ぬまで続けたい。体はまだまだ動きますしね。特にジム通いなどはしていないのですが、勤務先が手打ちうどん屋で、毎日うどんを打っているのがいいトレーニングになっているのかな? あれ、けっこうキツいんですよ」

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