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「2人の関係は理解しているが…」筒香嘉智の“横浜高校の同級生”が、筒香が移籍してもレイズに残って“大活躍”しているワケ
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by本人提供
posted2022/04/01 17:03
メジャーリーグ・アシスタントとしてレイズで働く佐野誓耶さん。横浜高校の同級生・筒香嘉智とともにレイズに来たが、筒香が移籍しても佐野さんはチームに残った
「自分で納得できていないときは、どれだけ先輩たちを待たせようが、絶対に練習をやめないですね。こういう結果だったから、こういう練習をしようという意図がきちんと見える。そういう部分をしっかり考えながらやっているんです。もちろん監督やコーチ、指導者の言うことに耳を貸さない訳ではない。ただ、それ以上に自分の感覚を大切にして、野球に向き合っているなと感じます。メジャーで活躍するんだという気持ちの強さ、タフさ、エネルギーの強さがちょっと他の選手とは違うなと思いますね」
クルーズやフランコだけではない。
この2年間で多くのメジャーリーガーたちの姿を観てきた。昨年はオールスターゲームでも練習の手伝いをして、レイズだけではなくメジャーリーグの超一流選手を間近で観るチャンスを得てきた。
一方、共にメジャーに乗り込んできた筒香も昨年、ロサンゼルス・ドジャースから3Aオクラホマシティーを経て、ピッツバーグ・パイレーツに移籍。パイレーツでは43試合で8本塁打を放ってOPS.882とブレーク。新たな契約を勝ち取って新シーズンへのスタートを切っている。
「一番の希望は筒香選手がいるチームで自分が全体を見ること」
「正直、先のことはどうなるかはわからないですけど、一番の希望は筒香選手がいるチームで自分が全体を見ることができたらいいな、と。彼と一緒に過ごしてきた時間は非常に長いですし、その経過を見られるというのは自分にとってはベスト。ただ、今はせっかく頂いた機会に全力で集中して、レイズでもっともっと色んなことを学んでいきたいと思っています」
日本では筒香のサポートをしながら、筒香がスーパーバイザーを務める堺ビッグボーイズの小学部でコーチをして、子供たちの指導もしてきた。
「僕は子供たちが好きだし、彼らに野球を教えるのも大切な仕事だと思っています。レイズでのこの経験から、いずれは子供たちがメジャーリーグを目指す、そのためにマイナーリーグに入って頑張るということが1つの選択肢になるのもいいし、そういう夢にチャレンジできる環境を作ることができたらいいな、とも考えています。そのためにもここでやっていることを日本で伝えられるように、1つでも多くのことを経験したいと思っています」
子供たちの未来につながる野球環境を作りたいというのは、筒香が常日頃から訴えていることだ。普通では入り込むことができないメジャー球団の裏側で働き、そこで戦うメジャーリーガーたちの考え方や素顔を知る。その目標に向かって、同じ志を持つ佐野もまた、いま大きな経験を積んでいる最中である。
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