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[マドン監督らが振り返る世界一]2002年アナハイムの王者たちに学べ
posted2022/04/01 07:08
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
エースもスターもいない。それでもなお勝ち続けた'02年のエンゼルスは、バリー・ボンズ擁するジャイアンツをも下して世界一の栄冠を勝ち取った。あれから20年、ベースボールは大きく変化した。しかし、頂を手繰り寄せたかつての「弱者の戦術」には今季の勝利に繋がるヒントが隠されているはずだ。
2002年10月27日、カリフォルニア州アナハイム。歓喜と興奮に包まれたエンゼルスの本拠地エジソン・フィールドには、打ち上げ花火の轟音が響き、無数の紅白テープが舞っていた。第7戦までもつれ込んだワールドシリーズでジャイアンツとの激闘を制したエンゼルスが、球団創設42年目で初めて世界一の座に就いた瞬間だった。
幾重にも重なり合った輪の中では、いつもは冷静沈着なマイク・ソーシア監督が、珍しく頬を紅潮させ、少し甲高い声をさらに上ずらせていた。
「本当にすごいチームだ。本当にすごいことをやり遂げてくれた」
長年、ヘブン(天国)に届かないあまりに、エンゼルス(天使)ではなく、デーモン(悪魔)と揶揄され続けた弱小球団が、ついにチャンピオンとなって天国への階段を登った。
あれから20年。大谷翔平をはじめ、マイク・トラウト、アンソニー・レンドンら球界を代表するスター選手を抱えながらも、エンゼルスは'14年にア・リーグ地区シリーズでロイヤルズに敗れて以来、ポストシーズンから遠ざかり、低迷を続けている。才能豊かな選手を持ち、名将ジョー・マドン監督が率いながら、なぜ優勝争いにすら食い込めないのか――。