「この言葉を使うのはあまり好きではないけれど、ガベージタイム──つまり、大差がついた試合の最後の2分に試合に出たときにその機会を生かしたプレーをすることで、コーチに印象づけることができる。たとえば、マラカイ（・フリン）は、同じポジションの選手が故障で欠場したときに、そうやってローテーションに戻った。雄太も同じだ。重要な時間帯であれ、ガベージの時間帯であれ、試合に出たときに結果を出せば、ローテーションに戻るのにプラスになる。（短い）ガベージタイムに印象を残すのは簡単なことではないが、彼はそれができている」（ナースHC）

　レギュラーシーズンは残り10試合余。今のラプターズの成績なら、その後プレイオフへと戦いは続きそうだ。その中で、いつチャンスが巡ってくるかわからない。

　その時のために、渡邊はきょうも試合後やオフの日に努力を続ける。

「今まで、そういうの（苦しい状況）を全部乗り越えて、結果を出してきている。そういった成功体験が自分のなかであるっていうのが、一番大きいかなと思っています。

　大学のときとかもそうでしたけれど、やり続けたら、何らかの形で褒美がもらえているというか、結果を出せている。だからやっていれば何かしらいいことは起きるんじゃないかなって。ある意味、本当に楽観的な気持ちでやるようにしています」

「時間があると練習するか、寝るぐらい」

　渡邊は趣味がない男だ。以前から、自分でも「時間があると練習するか、寝るぐらい」と認めている。NBA選手の中にはゴルフや釣りで気分転換をする選手が多いが、渡邊は今のところ、何か趣味を見つけようという気もないという。というのも、何か趣味を見つけてそれが面白かったら、のめりこんでしまうことが心配なのだという。

「たぶん性格的に、本当にそれが面白かったらそっちにのめりこんで行っちゃう。だから、今は別に趣味とかはそんなにいらないかな。というか、そっちに入って行っちゃうのが怖い」

　まさにバスケ一筋、真面目に練習することが身体にしみついているのだ。

　その一方で、自分の将来を考えたときに、現役をずっと続けるイメージはないと言う。

「30ちょっとぐらいまでかなって思っています」と、驚くようなことを言う。渡邊は今、27歳。つまり現役生活はあと5年ぐらいということだろうか？　そう聞くと、「いや、5年もやるのかなって思っています」と返ってきた。

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