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「毎日、心と身体を削りながらやっている」渡邊雄太27歳が明かすNBA4年目の苦悩と本音《自身の“引退”にも言及》
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byUSA TODAY Sports/Reuters/AFLO
posted2022/03/20 11:00
ラプターズでの出番が限られている中でも、ストイックに準備を続ける渡邊雄太
「自分の引退像としては惜しまれながら引退したい。まだ全然やれるのに、みたいに思われながら引退したいなっていうのがあるんですよ。まぁ、わからないですけれどね」
渡邊のプレーを1年でも長く見たいファンにとっては、最後の「わからないですけれど」という言葉が救いだろうか。
これは、それだけ精神的にも肉体的にもぎりぎりのところでやっていることの表れだ。
高いレベルの世界でのやりがいを知ってしまったからには、毎日、出せるものをすべて出しきって戦うしかない。
「毎日、心と身体削りながらやっている感がすごいある。だから、そんなに何か長くもたないのかなって」
「バスケやること自体は楽しいです。やりだしたら本当にいつも楽しみながらやっているんですけれど、正直、自分を奮い立たすのに、今まで以上に時間がかかっているというか……」
もっとも、渡邊にとって引退を考えることは、今始まったことでもない。
「それこそ、今までも、もう諦めてもいいかっていうときって何回でもあったんですよ。でも『まぁ、今までやってきたし、別に今日じゃなくてもいい』『今日諦めなくて、明日でもいいか』みたいな感じでやり続けて、今になっているっていうのもあるんで。引退するときも、『ま、別に今年じゃなくてもいいか』って言って、毎年毎年、伸びていきそうな気はしますけれどね(笑)」
今から5年たたないうちにさっさと引退するにしても、そう言いながら結局、40歳頃まで続けるにしても、そこに至るまでの日々は、葛藤と苦悩と、そしてそれを乗り越えた喜びの繰り返しだということは覚えておきたい。