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「毎日、心と身体を削りながらやっている」渡邊雄太27歳が明かすNBA4年目の苦悩と本音《自身の“引退”にも言及》
posted2022/03/20 11:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
USA TODAY Sports/Reuters/AFLO
試合が終わり、アリーナの音楽が止まり、スタンドに清掃員が入って喧騒の跡片付けをしている頃、渡邊雄太(トロント・ラプターズ)は試合で流せなかった汗を、ウェイトルームで流していた。
ホームでもアウェイでも、試合で出番がなかったときは、残って練習をするのがルーティンだ。試合中は、いつ名前を呼ばれてもいいようにずっと気持ちを張り、試合が終わると悔しさを封じ込めてトレーニング場に向かう。緊張と失望と、その繰り返しの日々は精神的にかなり厳しいのだと、渡邊はもらした。
NBA4シーズン目の今季、渡邊は32試合に出場し、平均12.6分のプレータイムで、平均4.6得点をあげている(現地3月19日時点)。シーズンに均した数字だけ見るとわからないのだが、実は、これまでで最も波の激しいシーズンを送っている。
シーズン序盤は開幕前からの故障で出遅れたものの、11月下旬の復帰から1月頭まではほぼ毎試合出場し、10分以上、多いときは37分余のプレータイムを得ていた。
ところが1月上旬に新型コロナウイルス感染で欠場し、復帰したときに試合の流れに乗れなかった。不調が続いたことで出場時間が減り、ローテーションから外れていった。その後、同じポジションの主力選手たちが故障から戻ってきたこともあって、最近は大差がついた試合の終盤しか出られなくなってしまった。
「もう一回登る」という苦しさ
昨季も、その前の2シーズンも、試合に出られないことはあった。しかし、一度ローテーション入りした後に再び外れることは、思っていた以上に精神的にきつかった。
「(NBAに入って)1年目から3年目は山頂をとにかく目指していくだけだった。一回、(山頂の)景色を見てしまったので、そこからまた降りて、もう一回登っていくっていうのが……」と、苦しさの理由を明かした。
「ローテーションに入るのがどれだけ大変か、この4年間で自分が一番わかっている。だから、また1からやり直しかっていうことを考えると、正直すごいストレスになります」
「色々考えすぎて、どうすればまたローテーションに戻れるんだろうとか悩み過ぎて、それが自分をどんどん苦しめていたような気がするんです」