3月上旬、チームは2週間の宮崎キャンプを終えて岐阜に戻り、開幕戦に向けての調整が始まった。J1神戸から加入した元日本代表の田中順也ら、他クラブからも有力選手の補強が叶ったFC岐阜。地元紙には「昇格」の文字が躍る。

　しかし、チーム合流から1カ月、宇賀神はもどかしさを抱えていた。

「苦戦するんじゃないかなって、正直思ってます。まだちょっと、ためらいがあるかな。僕も含め平均年齢高めの選手が多く入ったことで若い選手たちがちょっとビビっちゃってる。本当はもっと球際の強度を高く、激しくやっていかないといけない。まだ正直、ぬるさを感じます。勝利に対して向かっていくのは若い選手が伸びるためには欠かせない部分。

　若い選手たちは今のチームを『おじさんばっかり集まっちゃって』と感じていると思うんですが、違うんだと言いたい。俺たちはこれだけ戦えるんだ！　これだけ走れんだよって。お前たちは俺たちについて来れるのか。それぐらいのプレーを僕たちは見せなきゃいけない。良い意味で若手とおじさんたちがもっとバチバチ戦わなくちゃいけない。もっと来いよ！　もっと！　って」

©︎Akito Iwamoto

　選手を生かすも殺すも自分次第。チームにおける自分の役割、託された昇格のプレッシャーも感じている。

「自分としてはJ1の浦和で長くプレーしてきた選手がJ3に来たっていうのは、何かしら違いを見せなくてはいけないというプレッシャーを感じています。まわりからも『このメンバーがいたら勝つでしょ』『昇格しなきゃダメだ』とも思われている。

　でも昇格はそんなに簡単なことではない。間違いなく苦しむ場面が出てくる。その中で結果を残せるようにプレーで引っ張る。それが僕に求められていることだから」

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