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「ゼリー状の“それ”が自分の右目だと信じきっていた」失明危機に陥ったフットボーラー・松本光平が語る“光を失った瞬間”の激痛
text by
松本光平Kohei Matsumoto
photograph byTetsuichi Utsunomiya
posted2022/03/15 11:00
オセアニアのクラブを中心に独創的なキャリアを重ねてきた松本光平。事故から約1カ月後の2020年6月、右目は眼帯でふさがれていた
幸い帰国のタイミングでは、レベル2まで下がっていました。それでチームメイトに、ハミルトンとオークランドのボーダーラインまで送ってもらって、そこからニュージーランドでお世話になっていた北野強介さんに迎えに来てもらいました。
僕が確保したエアチケットは、シドニー経由で羽田着。オークランドからシドニーのほうが、距離的には短いんですけど、僕にとってはシドニーに着くまでが本当にしんどかったです。
フライトの間、目の痛みに加えて気分も悪かったんですよ。何度もトイレで吐いていたら、CAさんにすごく嫌がられました。
飛行機って、まず振動がジンジン目に響くんですよ。しかも気圧の変化で、眼圧が上がったり下がったりしたので、それで吐き気が止まらなかったんです。横になりたいと頼んでも「リクライニングシートを倒せば十分でしょ?」みたいな感じで。
シドニーから日本行きの便に乗り継いだんですが、こっちはCAさんがすごく親切で、搭乗する前から僕のことを気にかけてくれたんです。わざわざ3席分のシートを空けてくれたので、身体を横たえるのもOKでした。ずっと吐き気は続いていたし、目の痛みも半端なかったけど、羽田までのフライトは本当に助かりましたね。
羽田に到着したのは、5月31日の早朝です。<後編へ続く>
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