間宮　そうです。そんなことを考え始めて、もう次の日には顧問の先生のところへ行って「部活を辞めます」と伝えていました。それが中2の時です。

――決断が早いですね。

間宮　昔から決めたら早いんですよ。顧問の先生は一時の気の迷いだと思っていたようで、とりあえず週末の試合まで待てと（笑）。でもその後、結局辞めてしまいました。不思議なもので、最後の試合では結構いいピッチングができたんですけどね……。

シニアを知って「あ、もう出遅れているかもしれない」

――あれだけ計画もきっちり立ててたのに、野球への未練は全くなかったんですか？

間宮　部活の時間は楽しかったですし、きついトレーニングも全然平気でした。ただ、なんとなく自分は野球以外にもやりたいことがある人間なんだと感じていたんです。小さい頃から映画はよく観ていましたし、音楽も好きでギターを弾いたり。野球は好きなものの1つとして、それとは別に自分が時間を費やせる情熱があるものを探そうと。

――中学生でそんな冷静に考えられるものでしょうか。

間宮　考えていましたね。そこまで強くなかったチームの中でさえ圧倒的な存在になれない自分がいて、ライバルの彼とどっちがエースナンバーをつけるんだろうくらいの人間がプロって、あんまりイメージできなかったんです。漠然とやっていてもプロになれるほど甘い世界じゃないということは、当時からなんとなく思っていたことでした。

――裏を返せば、単に「プロ野球選手になる」と口にするだけでなく、それだけ真剣に考えていたということでもありますよね？

間宮　そうですね……。ただシニアやリトルリーグにはすでに硬球を扱っている上手い選手がゴロゴロいることを知ったときに、“あ、もう出遅れているかもしれない”と思ってたんですよね。彼らは部活とは違って野球をやるためにだけ集まって練習しているわけですから。そういうのも含めて、自分がプロ野球選手になるのは現実味がないなと悟りました。

　それで野球部を辞めてしばらくしたころに、雑誌モデルに誘われ、そこから芸能のお仕事を始めるようになったんです。

同じ“選抜される”世界でも「役者の評価は少し曖昧」

――またプロ野球選手と俳優というまったく違う職業を選びましたね。ただ“選ばれる”という点で、どこかリンクするような気もします。

間宮　どうなんですかね……。役者のお仕事は、視聴率みたいなものはあるにしても（評価の軸が）少し曖昧なんです。いくつも賞を取っていればオファーがくるという単純なものでもありません。

　ただアスリートの方たちは、数字にシビアな世界で生きている。だからすごく尊敬しているんです。野球で言えば、打率や打点が昨シーズンよりも下がっている、上がっていると明確な結果によって評価が変わるじゃないですか。野球をやったことのない人から「今年はダメだね」と言われるなんて……スポーツってすさまじくシビアですよね。

――明確な結果で評価されるアスリート界もシビアですが、曖昧な評価の中、多くのライバルとの競争で生き残っていかなければいけない芸能界もまた厳しい世界なのでは？

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