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武豊とルメールが感服した“キタサンブラックとサトノダイヤモンドのスゴさ”「ダートでもマイルでも戦える」「頭がいい馬です」
posted2022/03/08 17:00
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Yasuo Ito/AFLO
<名言1>
サトノダイヤモンドは頭がいい馬です。
(クリストフ・ルメール/Number2017/1/14特別増刊号 2016年12月31日発売)
◇解説◇
サトノダイヤモンドはディープインパクトを父に持ち、毎年夏に行われる「セレクトセール」にて、2億3000万円の高額で落札されるなど、デビュー前から話題を呼んでいた。
順調に戦績を積み重ね、2016年には3歳クラシック戦線の主役に。ディーマジェスティ、マカヒキとの3強の構図となる中で皐月賞は3着、日本ダービーは落鉄するアクシデントもあって僅差の2着に終わった。
しかし神戸新聞杯をステップに臨んだ菊花賞では圧倒的な1番人気に応える形で、初のGI制覇を達成。鞍上のルメールにとってもうれしい初のクラシック制覇となった。
その勢いに乗って、当時現役最強馬と呼ばれたキタサンブラックと戦ったのが、2016年の有馬記念だった。キタサンブラックから1番人気を奪ったサトノダイヤモンドは、直線での激しい競り合いの末、わずかにキタサンブラックを差し切って、古馬相手に勝利してグランプリホースに輝いたのだ。
騎手の意図を汲んで走れる賢さ
「クビ差だったのでびっくりしました。鼻差か頭差ぐらいだと思いました」
ルメールはレース後、フラッシュインタビューで涙を流すほどだった。それだけの激闘だったわけだが、サトノダイヤモンドを管理する池江泰寿調教師はこう見ていた。
「クリストフには、キタサンブラックは馬体をくっつけて行くともうひと伸びするから、ちょっと離してくれと伝えました。そのとおりに乗ってくれましたね」
さすがルメールの技術――というところだが、騎手の意図を感じ取って中山2500mを駆け抜けたサトノダイヤモンドの賢さも、ルメールの話す通り「頭がいい馬」という所以だろう。
レース後すぐに馬主の里見治氏と池江泰寿調教師が話し合い、2017年の凱旋門賞出走を決めた。
「あと一つ二つギアがあがれば、4歳の秋以降にほんとうに良くなると思います」
池江調教師はこのようにも話していた。その後のサトノダイヤモンドは2017年初戦となった阪神大賞典を制したものの、天皇賞(春)でキタサンブラックに雪辱を許し、この年最大の目標とした凱旋門賞でも2番人気に押されながらも大敗を喫するなど、悔しい戦いが続いた。ただデビューから3歳時に見せた鮮やかな走りは、競馬ファンの印象に強く残っているだろう。