「大渕（隆／GM補佐兼スカウト部長）を中心に一社会人としての基本的な教育をしているし、土俵に上げるための環境づくりをしている。相撲に勝てるかどうかは選手次第だけどね」

　近年は世代交代が進まずチーム成績が低迷し、球団編成の方針も少しずつ変化していた。かつては活用しなかった育成選手も獲得するようになった。二軍キャンプのグラウンドで会った今成さんは、満足そうな表情で手応えを語っていた。

「ファームで出番を与えられるだけじゃうまくならないし、競争意識が出てきたよ。育成の子らも懸命にやるからね」

2011年、交渉権を獲得した菅野智之（現巨人）の指名挨拶に訪れた際の今成スカウト（右から2人目）　ⒸSankei Shimbun

ネット時代に貫いた“情報の集め方”

　現在3年連続Bクラスと低迷中とはいえ、“ビッグボス”新庄剛志を新監督に迎えて今の日本ハムには活力がみなぎっている。今成さんが発掘した数々の「種」が、花を咲かせる日も近いかもしれない。

　そして、今成さんがスカウトを始めた44年前から、我々野球ファンを取り巻く環境も大きく変化した。ドラフト会議に興味を持つコアなファンが生まれ、インターネットの普及も手伝ってアマチュア野球の情報は爆発的に増えた。

　情報が氾濫する世の中でも、今成さんのように自分の足で情報を集め、時には人とぶつかりながら惚れた選手に食らいついたスカウトもいたことを伝えていこうと思う。

　あらためて今成泰章さんのご冥福をお祈りします。合掌。

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