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《2016年ドラ1》ソフトバンク田中正義(27)が語る“今の自己評価”「4年目までは絶望していました」「大活躍する要素は僕のなかにある」
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph byKotaro Tajiri
posted2022/02/21 11:03
今シーズン6年目を迎えるソフトバンク田中正義。プロ入り後に直面した壁と、6年目の決意を語ってもらった
「入団して4年目までは絶望していました。道筋が見えにくい時期も長くて、もがいていましたね」
ソフトバンクはNPBでもっとも選手層が厚い球団といわれる。投手陣も150キロを超える速球派がゴロゴロいる。そんなライバルが隣で投げ込んでいても、田中は「周りを見る余裕もなかった」という。
「自分には何が足りないのか? それを考え、ひたすらやっての繰り返しでした」
光が見えた20年“最終戦”の156キロ
暗中模索する日々のなかで、ようやく一筋の光が見えたのは、2020年11月1日。タマホームスタジアム筑後でのウエスタン・リーグ最終戦だった。
この日、田中は最終回にリリーフ登板し、最速156キロを計測している。このボールを投げた瞬間、田中は自分自身に驚いたという。
「こんなボールを投げられるんだ」
忘れかけていたものが蘇ってきた。そして、田中はこうも思ったという。
「こんなボールを投げられるなら、やらなきゃ。これで活躍できなかったら、100パーセント自分の努力不足だ」
この登板を機に、田中のうつむきがちだった視線は少しずつ上がっていく。翌2021年は6月下旬から一軍に定着し、18試合に登板。防御率2.16と一定の成績を残した。藤本博史監督が就任した今季は、先発ローテーション入りが期待されている。
6年目のシーズンを前に、田中に聞いてみた。今はどんな自己評価を下しているのかと。
「大活躍する要素は僕のなかにあると思います。それを引き出せるかも僕次第。親からいいものをもらって、あとは自分がどう料理するか。もう言い訳できないです」
現時点で最大の課題は「細かいコントロール」だと田中は言う。力任せに剛球を投げ込んでも、抑えられるのは好調時だけ。好不調の波に左右されないためにも、「大事なところでバッターの嫌がるところに投げ切る」ことを意識している。
今季からメガネを着用。その効果は?
そして、今季から田中のマウンド姿には大きな変化がある。前述したように、登板時にメガネをかけるようになったのだ。田中は「自分の目のクセを補正してくれる」と、その効果を語った。