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《2016年ドラ1》ソフトバンク田中正義(27)が語る“今の自己評価”「4年目までは絶望していました」「大活躍する要素は僕のなかにある」
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph byKotaro Tajiri
posted2022/02/21 11:03
今シーズン6年目を迎えるソフトバンク田中正義。プロ入り後に直面した壁と、6年目の決意を語ってもらった
もともと裸眼では視力が0.1以下と悪く、コンタクトレンズをつけて視力が1.2ほどに上がっていた。そこへさらにメガネをかけることで、視界はよりクリアになったという。
2月12日の紅白戦では先発登板し、2回2奪三振無失点と好投。幸先のいいスタートを切った。
メガネをかけたことで、もしかしたら「違う自分」に変身するような効果があるのだろうか。そう聞くと、田中は「どうなんだろう」と真剣な表情で考え込み、こう答えた。
「たしかにちょっと表情が読みにくくなるとか、そんな効果があればいいですね」
紅白戦では一塁走者を牽制球でアウトにするシーンもあった。もうフィールディングに苦手意識はないという。
「(打球を処理する際)手だけで投げると宙に浮いた感じになるので、足から手までつながっている感覚で投げるようにしています。もちろん、まだまだなんですけど」
本領発揮なるか? 田中「自分を信じたい」
前進している実感はある。それでも、田中はプロの打者と相対するなかで「『これでいける』と思ったことは1回もない」と口にした。この期に及んで……という気がしなくもなかったが、田中はクールな表情でこう続けた。
「『これでいける』と心からそう思えるようになりたい。自分を信じたい。そっちのほうが絶対、苦しくないですから」
もし、田中の恵まれた肉体に眠るポテンシャルを解放できれば、どんな成功が待っていると思うか。そのイメージを聞くと、田中はしばらく押し黙った。
「今思っているのは、スキがなくなればいいなと。相手チームがミーティングをしても突破口が見つからないような。そこに向かって頑張っています」
ドラフト会議当日に田中が放った、「『田中が先発だから球場行こうよ』と言ってもらえる投手になりたい」という言葉を覚えているか。そう聞くと、田中は力強くうなずいた。
「そういう選手になりたいという思いは、今も持ち続けています」
遠回りはしたかもしれない。だが、田中はようやく田中正義の本来のあるべき姿をクリアにとらえつつある。そのポテンシャルに魅了された人間の一人として、強く言いたい。田中ならきっと、大丈夫だ。
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