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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「陸上選手よりも速い」野球界のスピードスターの“速さ”を「50m走のタイム」で判断していいのか問題
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph bySankei Shimbun
posted2022/02/04 11:07
プロ初盗塁を決めるヤクルト並木秀尊。プロ入り前の50m走で「5.32」を記録したことで注目を集めていた
そしてタイムから見えてくるものはその選手の脚力だけではない。走塁に対する意欲も如実に表している。いくら足が速くても一塁まで流して走る選手はプロだけでなくアマチュア野球にも非常に多い。本気で走れば速いのだからそれでも良いという考え方もあるが、そういった姿勢はなかなか直らないものである。
昨年大ブレイクしたオリックスの主砲・杉本裕太郎は、抜群の俊足というわけではないが常に足を緩めない選手。筆者が見た、青山学院大時代の杉本が放った7本の内野ゴロのうち6本のタイムが4.3秒台だった。右打者のスラッガータイプは一塁到達5.00秒を超えるケースも多い中でこの数字は立派という他ない。
最近では「パ・リーグTV」などで各塁の到達タイムが紹介されていることもあるが、まだまだ一般的ではない。普及のためにもテレビ中継でスピードガンのように常に各塁への到達タイムを紹介することができないだろうか。現在の映像技術ではきっと可能なはずである。
野球界のためにも陸上界のためにも、野球選手の俊足を示す基準として各塁の到達タイムが浸透することを望みたい。