歩夢と優斗だけでなく、今季初戦のW杯で優勝を飾るなど2度表彰台に上がり、DEW TOURでも3位と好成績を収めた平野流佳もトリプルコーク1440を持っている。彼のそれはキャブ・トリプルコーク1440になるのだが、LAAX OPENの決勝で2本ともトライ。成功とはならなかったが、実戦感覚を養うことができた。4方向あるスピントリックすべてをルーティンに取り入れるバランスのよい構成と、安定感ある滑走力が武器の流佳も、もちろんメダル候補のひとりである。

絶対王者ショーンはベストランを披露していないが…

　そして、オリンピック金メダリストに3度輝いているショーンは、北京五輪で5度目の出場となる。昨年12月に米コロラド州カッパーマウンテンで行われた今季初戦のW杯ではバインディングの破損に悩まされ、12月下旬には新型コロナウイルスに感染。年が明けてマンモスマウンテンで開催されたW杯2戦目では決勝にコマを進めるも、予選の着地時に足首を痛めてしまいファイナルを欠場した。W杯2戦目はアメリカの代表選考レースにあたるUS GRAND PRIXとの併催だったのだが持ち越され、翌週のLAAX OPENでの3位が決め手となり北京の地へ乗り込む。このときも決勝1本目を終えて表彰台を確信したのか、2本目のランでは1本目で連続ダブルコーク1080から入っていたところを720に変更していた。

つい先日の1月15日LAAX OPENで代表権を獲得し北京行が決まったばかりのショーン　©Getty Images

　自身が手掛けるブランドのボードにまたがり、自らの年齢を2で割ったような世代と相対する35歳の絶対王者はどのような戦いを強いられるのか。今シーズン、まだベストランを披露していないだけに不気味な存在である。連続ダブルコーク1440と連続ダブルコーク1260はすでに持っている。北京五輪で競技からの引退を表明しているだけに、何か秘策を準備しているのではないだろうか。

　2月9日、中国・シークレットガーデンのハーフパイプで、決戦の火蓋が切られる。