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FC東京アルベル新監督がビルドアップに“足かせ”をハメた? ポジショナルプレー浸透への「試行錯誤」〈キャンプ現地レポ〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byF.C.TOKYO
posted2022/01/30 17:03
京都との練習試合、ベンチ内で意見交換する(右から)森重真人、東慶悟や小川諒也ら。ポジショナルプレーへの挑戦は、1つずつ積み重ねていくことが肝要だ
ディエゴ・オリヴェイラが振り返る。
「もちろん、私たちはボールを握りたいんだけど、ボールを奪われたら素早く切り替えて速攻を繰り出すのもひとつの方法。新しいサッカーに挑戦しているが、攻守の切り替えなどこだわるべき部分はこれまでと変わらないよ」
「クライフだってバルサを作るのに15年かかりました」
アルベル監督は改めて、肝に銘じるべきことを強調する。
「クラブを変えようとする意識がなければ、同じ道のりの繰り返しになってしまいます。今季は難しいシーズンになると思うが、ファン・サポーターの皆さんもそれを理解し、その後に訪れる成功のために待ってください。そうすれば必ずや大きな成功を成し遂げられることでしょう」
そして、こう続けた。
「(ヨハン・)クライフだってバルサを作るのに15年かかりました。もちろん、そんなに待つことはできないので、もう少し早くできればと思っています(笑)」
とはいえ、開幕は3週間後に迫っている。シーズン前半でモタモタすれば、あっと言う間に残留争いに巻き込まれるのが、実力伯仲のJ1リーグである。
その点で心強いのが、強力なアタッカー陣の存在だ。この京都戦でも自慢のブラジリアントリオが揃い踏みでゴールを決めている。
「前線の決定力の高い選手には、チームに落ち着きと自信を与えてもらいたい」と指揮官も期待を寄せている。
アルベル監督が再び力を込める。
「私が好むサッカーは(ジョゼップ・)グアルディオラのスタイルに近いものがあります。けれどもグアルディオラだけではなく、ヨーロッパのレベルの高いクラブのほとんどが、私たちが目指しているようなプレーをしていると思う。よりモダンで現代的なサッカーを日本で表現するというのが私の希望です」
絶対王者・川崎との開幕戦でFC東京はどのような姿を見せるのか。
“ポジショナルプレー”への確かな手応えと、少なくない課題を抱えながら、首都のクラブはプレシーズン後半へと突入する。