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巨人の新外国人・ポランコは「クロマティ2世」になれるのか?“メジャー通算96本塁打98盗塁”のパワーと走力で可能性は充分
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2022/01/13 06:00
巨人の新外国人選手として注目が集まるポランコ
MLBで「打線のつなぎ役」だったクロマティは、以下の通り、巨人に来てから長打率と本塁打数で劇的に変わり、「中軸打者」へと大変身した。
▽クロマティのMLB移籍前と巨人初年の成績
エクスポズ 1983年 打率.278/出塁率.352/長打率.386 3本塁打8盗塁
巨 人 1984年 打率.280/出塁率.322/長打率.565 35本塁打4盗塁
前出のようにポランコは、NPB移籍前にMLBで打率.208/出塁率.283/長打率.354、11本塁打14盗塁だったので、MLBではクロマティより「パワーと機動力はあるが確実性は低い」。そこで気になるのは、ポランコのMLBにおける「打球方向」と「守備シフト」だ。
▽ポランコの打球方向(本塁打を含む)
Pull% Cent% Oppo%
ポランコ 35.0 51.7 13.3
MLB平均 28.5 53.1 18.4
念のため書いておくと、Pull=引っ張る、は左打者のポランコの場合、右翼方向であり、Centは中堅方向、そしてOppo(site)=反対方向、つまり左翼方向のことで、前出の打球速度を併せると、ポランコは「引っ張って強い打球を飛ばす打者」ということになる。
ネガティブな見方をすれば、「ヒットゾーンが狭い」ことになる。彼がNPB移籍で突如、反対方向に打ち始めるとは思えないので先行き不安にはなるが、打球を引っ張ろうが流そうが、外野手の頭を越えれば長打である。ましてやNPBは二塁手や三塁手を右翼の芝の上まで移動させるような、MLBで流行している極端な守備シフトは今のところ、敷いていないようなので、たとえ反対方向に打たなくとも、MLBでは野手の守備範囲に飛んでいたはずの打球が抜けて、全体的な率が上がる可能性はある。
MLBの記録では、DeNAオースティンを上回っている
クロマティは、1989年に首位打者タイトルを獲得するなど「息の長い助っ人」となり、NPB7年で通算171本塁打を記録するなど、巨人の歴史に名を残した外国人選手なので、比較するのはフェアではないが、もしもポランコがMLB最終年の打率.208を少しでも上昇させるような結果を残せば、同出塁率.283や長打率.354もシンクロ上昇するのは間違いない。そして、彼が巨人で1年間、怪我なくプレーすることができるなら、昨季、セ・リーグで活躍したと見られている外国人選手に近い数字が残せるかも知れない。
▽昨季、活躍した主なセ・リーグ外国人選手の打撃成績
T・オースティン(DeNA) 打率.303/出塁率.405/長打率.601 28本塁打
J・マルテ(阪神) 打率.258/出塁率.367/長打率.451 22本塁打
N・ソト(DeNA) 打率.234/出塁率.302/長打率.436 21本塁打
J・サンズ(阪神) 打率.248/出塁率.328/長打率.451 20本塁打
D・サンタナ(ヤクルト) 打率.290/出塁率.366/長打率.511 19本塁打
D・ビシエド(中日) 打率.275/出塁率.333/長打率.433 17本塁打
J・オスナ(ヤクルト) 打率.258/出塁率.293/長打率.401 13本塁打
昨季、セ・リーグでもっとも活躍したとも言えるオースティンが、MLB最終年に3チームで打率.188/出塁率.296/長打率.409、MLB通算でも打率.219/出塁率.292/長打率.451だったことを考えれば、それを上回っているポランコへの期待は、自然と膨らんでしまうのである――。
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