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巨人の新外国人・ポランコは「クロマティ2世」になれるのか?“メジャー通算96本塁打98盗塁”のパワーと走力で可能性は充分
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2022/01/13 06:00
巨人の新外国人選手として注目が集まるポランコ
日本人にはないパワーを秘めた打者
だからこそ日本の球団にとっては「狙い目」の選手なのだが、過去の外国人選手がそうだったように、彼もまた、「実際にやってみなくては分からない」。ただし、たとえば以下のような数字は、ポランコへの期待が高まる理由の一つだろう。
ISO HR% SO% BB% EV HardH% LD% FB%
ポランコ .167 3.0 21.6 8.9 89.7 43.0 26.1 22.4
MLB平均 .162 3.1 21.8 8.3 88.4 38.7 25.3 22.4
ISOというのは単純に長打率から打率をマイナスして、それを「純然たる長打力」と考える数値で、ポランコはMLB平均以上と考えられている。
打球のEV(Exit Velocity=飛び出し速度)や、HardH%(Hard Hit Rate=EVが時速約153キロ以上の打球が飛ぶ確率)、LD%(Line Drive Rate=ライナーになる確率)もMLB平均を上回っており、日本人には簡単には出せない「パワー」を秘めた打者であることは確かだろう。
それにポランコは昨季、パイレーツを自由契約になった後、ブルージェイズとマイナー契約して、MLBより1階級下のAAA級バッファローでわずか24試合の出場ながら、打率.374/出塁率.436/長打率.747、9本塁打5盗塁の好成績を残している。22歳の「有望株」と30歳の「元メジャーリーガー」という違いはあるものの、それはMLB昇格年のAAA級69試合での打率.328/出塁率.390/長打率.504、7本塁打16盗塁を思い出させる成績だ。
クロマティと比較すると……
巨人に来た左打ちの元メジャーリーガーと言えば、過去にタフィ・ローズやロベルト・ペタジーニを思い出すが、彼らはいずれもNPBの他球団で成功してから巨人にやって来た助っ人だ。米国から巨人にダイレクトでやって来た助っ人と言えば、「昭和の時代」に活躍した往年の名助っ人ウォーレン・クロマティだろう。
▽ウォーレン・クロマティの各成績
MLB通算 打率.281/出塁率.336/長打率.402 61本塁打 50盗塁
162試合平均 打率.281/出塁率.336/長打率.402 9本塁打 7盗塁
マイナー通算 打率.315/出塁率.371/長打率.436 24本塁打 62盗塁
NPB通算 打率.321/出塁率.372/長打率.558 171本塁打 26盗塁
(*MLB10年1107試合 マイナー3年355試合)
クロマティは巨人に移籍する前年(1983年)、エクスポズでプレーしたものの、シーズン終盤は腰痛の影響もあって、ずっと後にレッドソックス監督となるテリー・フランコーナ(現ガーディアンズ監督)に、右翼のポジションを譲っている。それは奇しくもポランコと同じ29歳の年のことだった。