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まさかの全日本選手権欠場、代表落ち…19歳紀平梨花が北京五輪を目指し続けた4年間「フィギュアスケートは私にとって命懸けの存在」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2021/12/30 17:09

まさかの全日本選手権欠場、代表落ち…19歳紀平梨花が北京五輪を目指し続けた4年間「フィギュアスケートは私にとって命懸けの存在」<Number Web> photograph by Getty Images

北京五輪の代表選考会でもあった全日本選手権。怪我のため、紀平梨花はその舞台に立つことができなかった

 以降、着実に道を歩んできた。2018-2019シーズンにシニアに上がるとグランプリファイナル優勝を含め国際大会ではシーズン初戦から6大会連続優勝。世界選手権にも出場し4位となった。2019-2020シーズンは2年続けて進出したグランプリファイナルこそ4位だったが全日本選手権で初優勝し四大陸選手権では連覇を達成。コロナにより世界選手権が中止となり、シーズンを終えた。

 昨シーズンは初戦となった全日本選手権で4回転サルコウを決め、日本女子史上2人目の4回転ジャンパーとなって連覇。世界選手権ではショートプログラム2位と好スタートを切ったが時差の調整などから来るピーキングの失敗からフリーでミスが出て7位にとどまった。

「こういうミスを二度としないよう、本気でやり直したいです」

 ロシア勢の表彰台独占に、「4回転ジャンプを2本入れるくらいの難しい構成を」と心に期した。

 だが、今シーズンは怪我に苦しんだ。春以降は腰痛で練習を休まざるを得なかったり、ひと月ほどジャンプを跳べない期間もあった。7月に右足首を痛め、結果、グランプリシリーズは2大会ともに欠場を余儀なくされた。11月もリンク外での練習がメインとなるほど回復に至らなかった。可能性がわずかとなっても、ぎりぎりまでオリンピックへの道を模索していた。その末の決断だった。

「フィギュアスケートしかないと思っています」

 紀平はオリンピックをどんな舞台と意識して目指してきたのだろう。4年に一度の特別な場所であるのは言を俟たない。その上で頭をよぎるのは、取材での言葉だ。高難度ジャンプでフィギュア界を席巻するロシア勢への意識などについて語った紀平に、フィギュアスケートとは、と尋ねるとこう答えた。

「命懸けの存在というくらい(大切なもの)」

 そして続ける。

【次ページ】 真摯に磨いてきた土台は決して失われない

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