――康生さんは、最終決定のとき、どう反応していたのですか。

鈴木　自分の意見を尊重してくれました。そして、それを実行できるんですよ、井上康生という人間は。

――任せ、決断し、実行できる。これぞリーダーという気がします。

鈴木　康生さんは「監督の顔色をうかがわず、思ったことをやってくれ」みたいなことをよく言っていたので。ただ、監督の意見は必ず求めるようにとは言われていました。あと、井上体制において、バズーカ岡田（体力強化部門長を務めた岡田隆氏の愛称）の影響はとても大きかったと思います。彼はトレーニング方法だけじゃなくて、組織の考え方まで変えてくれましたから。

――そこまで大きな存在だったわけですか。

鈴木　バズーカは現役のボディービルダーでもあるので、日常から、自分でも自分を追い込んでいる。だからこそ滲み出る説得力ってあるんですよ。普通の選手ならちょっと弁が立てば納得させることは簡単ですけど、代表クラスのトップアスリートを惹きつけることって並大抵じゃないですから。

井上体制9年間のMVPは岡田隆だった

――岡田さんには今回の連続インタビューでも話をうかがいましたが、非常に物事をはっきり言う方ですよね。必要なものと、必要じゃないもの、と。そして、その言葉が自信に満ちている。ああ、本当にそうなんだろうなと思わされてしまいました。

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