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「引退は全然考えない」女子格闘技の第一人者・浜崎朱加39歳はなぜ衰えないのか? 大晦日に“超新星”と対戦も「一本かKOで」
posted2021/12/29 17:02
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
RIZIN FF
よく寝る。よく食べる。よく動く。
それが日本女子総合格闘技界を牽引し続ける浜崎朱加(AACC)の健康の秘訣だ。
「何かに悩むこともないですね」
マネージャー役を務める同門のアミバが「寝たら、何でも忘れるタイプ」と突っ込むと、浜崎は「私、超忘れん坊なんですよ」と呟きながら頷いた。
「悲しいことも楽しいことも一晩経てば全部忘れてしまう。いや、ちょっと待ってください。楽しいことは覚えているか(笑)」
生まれつき免疫力が高いせいか、今までインフルエンザはおろか、風邪にもかかったことがない。
「ヒザを手術するなど、ケガは何度もしているんですけどね。でも、過信していたら絶対いつかはかかると思うので、普通に手洗いとかはしていますよ(笑)」
来年には40歳も「引退の質問はやめてほしい」
来年3月には四十路に突入するが、浜崎にとって年齢は単なる数字に過ぎない。ただ、周囲の受け取り方は違っているため、多少の戸惑いを覚える。例えば、最近インタビューを受けると、決まって「いつ引退するの?」という質問を受ける。
そのたびに浜崎は「そういう質問をするのはやめてほしい」と心の中で呟く。
「身体は全然動くし、いつ引退するとか全然考えていないんですよ。でも、いよいよ四十路とか突っ込まれると、なんか考えちゃいますね。そのときの気持ち次第。今度試合をやって『引退する』というふうになるかもしれないし」
2018年、活動の拠点をアメリカから日本に戻してからは3年連続で大晦日のRIZINに出場している。 今年はコロナ禍の中、一度は「なしで」という連絡を受けたが、最終的に話はまとまった。大晦日のマッチメークは突如ストンと決まるものなのか。浜崎は「RIZIN側は『絶対やってくれ』という感じではなかった」と打ち明ける。
「でも、大晦日といえば格闘技といっていいほどのビッグイベントじゃないですか。ファンの皆さんに自分が闘っている姿を見せたいと思って受けました」
対戦相手の伊澤星花は中学時代にレスリングの全国選手権で優勝。高校時代は柔道でインターハイ3位、全日本女子相撲選手権で準優勝という3大グラップリング競技で活躍したサラブレッドだ。今年6月にはデビューしてからわずか8カ月で浜崎同様柔道出身の本野美樹から一本勝ちを奪い、無敗のままDEEP JEWELSストロー級王者になった。リングやケージを離れると、東京学芸大学に通う大学院生という別の顔も持つ。本野は浜崎と同じAACCに所属しているため、浜崎は以前から伊澤のことを知っていた。