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ロナウドは“80億円でクラブ買収”など敏腕ビジネス、ロナウジーニョは借金+トラブル… 引退後が対照的かつトリッキーすぎ 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2022/01/03 17:02

ロナウドは“80億円でクラブ買収”など敏腕ビジネス、ロナウジーニョは借金+トラブル… 引退後が対照的かつトリッキーすぎ<Number Web> photograph by JMPA

2006年W杯でのロナウジーニョとロナウド。15年経った今、2人の境遇はどうなってる?

 現役引退後、ロナウドはまず選手のキャリアをサポートする代理人事務所を設立。面倒見の良さを発揮し、多くの有力選手を顧客に迎えた。

 2014年末、MLSの下部リーグのクラブのオーナーとなったものの、約2年半後、活動停止に追い込まれた。しかし、2018年8月、3000万ユーロ(約39億円)でバリャドリード(当時スペイン1部だが、今季は2部)の株式51%を取得。現在は82%まで増やしている。そして、今回のクルゼイロ買収である。

稀代のストライカーはビジネス面の才覚も

 ロナウドは、一体、どうやってこれらの資金を調達しているのか――。

 引退後、彼は現役時代に蓄えた資金を元にいくつかのスポーツ関連の会社を設立した。その一つがマドリードに本拠を置くスポーツ・マーケティング会社「タラ・スポーツ」で、バリャドリードとクルゼイロの買収はこの会社を通じて行なっている。

 現在の個人資産は、推定8億5000万レアル(約170億円)。経営する会社は優秀なスタッフを揃え、いずれも業績が好調とされる。彼には、ビジネス面の才覚もあるようだ。

 ただし、クルゼイロ買収にはリスクもある。クラブは10億レアル(約200億円)を超える負債を抱えており、買収はこの負債を背負うことを意味する。当面、6年以内に負債の6割、すなわち6億レアル(約120億円)強を返済しなければならない(ただし今後、債権者と交渉して返済額を減らす可能性も残されている)。

 彼自身が語る「挑戦」の第一歩は、クラブの危機的な財政状況を早急に改善することだ。

 私生活に関しては、若い頃は女性関係が複雑で、三度の離婚を味わった。日系ブラジル人女性との婚外子を含め、21歳から10歳まで二男二女がいる。2008年には、リオの路上で娼婦を拾ってモーテルへ行ったが男娼とわかって支払いを拒絶し、男娼から訴えられる――という世にも恥ずかしい事件を起こしている(本人は「左膝の故障がなかなか治らずストレスがたまり、酒を飲んだ末に馬鹿なことをしてしまった」と釈明している)。

 しかし、2015年に現在のパートナーと知り合ってからは平穏な家庭を築いており、そのことがビジネスにも好影響を与えているようだ。

超絶テクニックで見る者を魅了した「魔術師」

 ブラジルのスーパースターには、「もう1人のロナウド」がいる。ロナウド・デ・アシス・モレイラ(41)、通称ロナウジーニョ。ブラジル国内では、ブルッショ(魔術師)とも呼ばれる。

【次ページ】 ロナウジーニョの私生活トラブル史が凄まじい

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