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プロ野球PRESSBACK NUMBER
オリックス優勝の起爆剤・宗佑磨が語る“7年目の覚醒”と“昔の自分に言いたいこと”「僕の守備は忠実じゃないと思われるかもしれないけど」
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byNanae Suzuki
posted2021/12/27 17:08
今季大ブレイクを果たしたオリックス・宗佑磨。シーズンを終えた心境と高校時代のエピソードを語ってくれた
高3夏に大ケガ。恩師「普通なら間に合いません」
実は宗も、選手生命が危ぶまれるほどの大ケガを経験している。高3夏の大会直前、6月のことだ。練習試合でスライディングした際に、以前から痛めていた右ひざを負傷した。「膝蓋骨骨折」。最後の夏は絶望的と言われた。
横浜隼人・水谷哲也監督は振り返る。
「夏の大会まで1カ月。普通なら間に合いません。そこを宗は持ち前の責任感でリハビリを頑張り、万全とは言えない中、チームのために間に合わせてくれたんです」
緊急手術をした河崎賢三医師(現・横浜たまプラーザ運動器クリニック院長)のサポートと、本人のリハビリにより奇跡的な回復をみせ夏の神奈川大会初戦になんとか「3番ショート」で出場。2、3回戦は欠場したが、準決勝まで5試合に出場し「ドラフト2位指名」につながる3割7分の打率を残し、県4強入りした。
当時、宗の焦りや不安を落ち着かせ、「長い野球人生。少し休養ができると思ってゆっくり治せばいい」と言って「逃げ道」を作ってあげたのは河崎医師のファインプレーとも言える。右ひざには今もチタン製のボルトが入っている。円陣の輪の中で、西浦に向けて発した熱い思いは、自身の経験から来る言葉でもあった
左澤打撃投手「本当に素直で、純粋な野球少年だなって」
「宗を見てると、本当に素直で、純粋な野球少年だなって思うんですよね」と話すのは、横浜隼人の2学年先輩の左澤優(元オリックス投手)だ。
「引退して気づいたんですが、プロ野球選手って本当に野球が好きなんですよね。野球が大好きで、自分がうまくなるためにどうしたらいいかをメチャメチャ考えている人から活躍しているんですよ。宗もその一人です。調子が悪いときでも『優さん、ちょっといいっすかー!』ってニコニコしながら手伝いを頼んでくる。試合前でもベンチ前で爆笑し合ったりしていつも楽しそう。オリックスはそういう集団なんだと思います」
20年に現役を引退し、現在は球団打撃投手を務めている。宗からは「ボク専属の打撃投手」と頼りにされている。周りの人に恵まれてきた宗の野球人生。この強運も持って生まれたものだろう。