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“新庄剛志との生活”を同居人・安河内駿介が語る「感覚を言語化するのがものすごくうまい」「ゴミが落ちていたら拾う。そういうことを自然と…」
text by
菊地高弘Takahiro Kikuchi
photograph byYuki Suenaga
posted2021/12/24 11:06
新庄監督と同居生活をおくる安河内駿介氏。ビッグボスから学んだこととは
「『ツーさん』でいいよ」
それ以来、安河内は「新庄さん」ではなく、「ツーさん」と呼ぶようになる。新庄は周囲の人間に気を遣われることを嫌い、常に気さくに接してくれた。他にも同居するスタッフがいるとはいえ、憧れのスターとの共同生活。だが、安河内は「気疲れはまったくありませんでした」と語る。
新庄は「感覚を言語化するのがものすごくうまい」
毎朝決まって新庄の部屋から「あ~!」という大きな叫び声が聞こえると、「ツーさん、起きたんだな」と察する。生活面で小言を言われることはなく、求められるのは「リビングと冷蔵庫はきれいにしといて」ということくらい。テレビで見た、あの「新庄剛志」がそのままの姿で生きていた。
実際に練習に付き合ってみると、13年のブランクは大きいように感じられた。ストレッチをやっても、股関節が固まっており可動域が広がらない。だが、安河内はすぐに新庄の恐ろしさを思い知る。3日後には開脚ストレッチで両ヒジが地面に着くようになり、1週間後には額が地面に着くようになった。
「おかしい、この人!」
50歳近い新庄の驚異的な進化スピードに、安河内は目を見張った。また、新庄は安河内に技術的なアドバイスを送ってくれることもあった。
「カカトをギリギリまで浮かせないで投げてみて」
実際に試してみると、右足が最後までピッチャープレートに粘れて左半身の開きが抑えられ、今まで以上にボールへの指のかかりがよくなった。安河内は内心、こんな思いを抱いた。
「今までイメージがなかったけど、新庄さんっていろんな知識があるし、感覚を言語化するのがものすごくうまいんだな」
トライアウト終了後、新庄は言った「今度はサポートするから」
2020年12月8月、新庄は12球団合同トライアウトを受験した。二塁ゴロ、四球、二塁ゴロで迎えた第4打席、安河内は新庄が打席に立つ前から「これは打つわ」と予感したという。