巨人・岡本和真の“飛ばし過ぎ”伝説「菓子折りを持ってよく謝りに…」恩師が期待する“3冠王”と驚いたゴールデン・グラブ賞

　右打席でどっしりと構える姿は、智弁学園時代から様になっていた。

　1年秋から4番に座り、3年の夏は主に3番。常に攻撃の中核に担ってきた大砲・岡本和真は、今や球界を代表する打者に成長している。

　その活躍を嬉しそうに話すのは、岡本の恩師である智弁学園・小坂将商監督だ。ただ、プロ入り後は少し時間がかかるのでは、と感じていた。

「プロ1、2年目の頃はプロのスピードに戸惑うと思っていました。高校生の時に対戦する投手のストレートはだいたい速くても平均で144、5キロ。でも、プロは普通に150キロを超えていて、そこに140キロ台のフォークもあります。1年目の姿を見ていたら、時間がかかるかなと思っていましたが、高橋由伸監督に我慢して使ってもらって、本人が結果を残したところはさすがだと思いました」（小坂監督）

　1年目、2年目は二軍スタートだった。3年目に開幕一軍出場を果たすもシーズンのほとんどは二軍で過ごした。だが、プロ4年目を迎えた2018年は4番打者に定着し、プロ野球史上最年少となる22歳3カ月で100打点を記録。33本塁打、打率.309と文句なしの数字を残した。以降、今シーズンまで4季連続で本塁打は30本以上をキープしている。また今季はリーグ優勝こそ逃したが、個人では2年連続でホームラン王、打点王の2冠を獲得。さらに三塁手として悲願だったゴールデン・グラブ賞も受賞した。

©︎Kiichi Matsumoto

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小坂監督が驚いた中1の岡本

　小坂監督が岡本を初めて目にしたのは中学1年の冬。視察に訪れたチームには岡本の1歳上に気になる選手がおり、当初はその選手が目的だったという。しかし、小坂監督の目は岡本の姿に釘付けになる。

「中学1年の中でも体が大きく、長距離バッターの雰囲気がありました。打球の強さは中学生ではトップクラス。しかも当時から逆方向にも飛ばせていたんですが、中学生では見たことがありません。ハンドワークが柔らかく、飛ばすコツを当時から備えていましたね」

　学年が上がるにつれて岡本への注目度は高まっていったが、最終的には数十校の強豪校から誘いを受けるなか、地元・奈良県五條市にある智弁学園を選んだ。

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