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“新庄剛志との生活”を同居人・安河内駿介が語る「感覚を言語化するのがものすごくうまい」「ゴミが落ちていたら拾う。そういうことを自然と…」 

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菊地高弘

菊地高弘Takahiro Kikuchi

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photograph byYuki Suenaga

posted2021/12/24 11:06

“新庄剛志との生活”を同居人・安河内駿介が語る「感覚を言語化するのがものすごくうまい」「ゴミが落ちていたら拾う。そういうことを自然と…」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

新庄監督と同居生活をおくる安河内駿介氏。ビッグボスから学んだこととは

「対戦するのが相性のいい左ピッチャー(日隈ジュリアス/元ヤクルト)で、ランナーが二塁にいる場面。ふと、レフト前にヒットを打つイメージが降りてきたんです」

 結果はチェンジアップをレフト前に運ぶタイムリーヒット。結果的にNPB球団からのオファーは届かなかったが、新庄剛志らしさを存分に見せつけた。

 トライアウト終了後、新庄は練習パートナーを務めた安河内への感謝を口にし、こんなことを申し出ている。

「今度は俺が逆にヤッコッチ(安河内)をサポートするから、遠慮なくやってくれ」

 安河内は新庄の援助を受け、不自由なく練習に没頭できた。だが、結果的にメキシコ球団側の事情でオファーが流れ、安河内は27歳にして現役引退を決意する。新庄に報告すると、「決めるのはヤッコッチだけど」と前置きして、現役続行へのさまざまな選択肢を提案してくれた。それでも、安河内の引退の意志が固いと知るや、新庄は理解を示した。

安河内「指導者のオファー来ますかね?」、新庄「大丈夫」

 安河内の野球引退後も新庄との同居生活は続いている。新庄は安河内に常々こんなことを漏らしていたという。

「『プロ野球選手を教えたい』とずっと言っていました。身体能力の高いプロ選手を自分が教えることで、どこまで変わるのかを見てみたいと」

 トライアウトの後の1年間、新庄は指導者になるための準備をしていたという。安河内が「本当に指導者のオファー来ますかね?」と尋ねると、新庄は力強く「大丈夫」と答えた。

 その言葉は現実のものとなる。2021年10月29日、日本ハムが来季の監督に新庄が就任することを発表した。就任記者会見で新庄が「呼んでほしい」と要望した「ビッグボス」の愛称は一躍、流行語になった。

「だから考え方の引き出しが多いのでしょうね」

 ビッグボスは秋季練習や12球団トライアウトの視察に訪れるなど、早くも精力的に活動している。鎌ケ谷の球団施設に凄腕の整体師を呼び、若手選手の関節にズレがないかをチェックさせた。

 実はこの整体師である山内敏夫さん(山内整骨院院長)を紹介したのは、安河内だった。大学時代に肩を痛めて野球を断念しかけた時、救ってくれたのが山内さんだった。

【次ページ】 新庄は「ゴミが落ちていたら拾う。そういうことを自然とできる」

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