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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「落合さんは島田紳助さんっぽい」「ビッグ3を野球選手で例えるなら…」ナイツ塙宣之が語った“野球とお笑い”の知られざる関係
text by
塙宣之Nobuyuki Hanawa
photograph bySankei Shimbun
posted2021/12/23 17:01
“お笑いビッグ3”と称された明石家さんま、タモリ、ビートたけし。塙はそれぞれのキャラクターを長嶋茂雄、王貞治、野村克也に例えた
――いろいろ聞きたいことはありますが、まずは「ツッコミ=ピッチャー」という理由を教えてください。
たとえば、「うるせぇ、お前!」っていうのは僕にとってはストレートなんですよ。で、優しくマイルドなツッコミが変化球のイメージなんです。あるいは言葉ではなく、何も言わずに頭を叩いたり、黙ったまま蹴りを入れたりするのもある意味では変化球なんですよ。ツッコミの基本は速いストレートとカーブがあれば、十分成り立つんです。
――少し整理させてください(笑)。「なんでやねん!」のようなオーソドックスな言葉のツッコミをストレートだとしたら、言葉ではなくどついたり、無視したり、何かに例えたり、ボケに対してボケで返したり、あえてボケに乗った上でツッコむノリツッコミだったり……、そうしたさまざまなツッコミが変化球だということですか?
まぁ、簡単に言えばそういうことです。たとえば、僕はくりぃむしちゅーの上田晋也さんはダルビッシュ有だと思っているんですよ。「違うわ!」「バカか!」みたいな、シンプルな剛速球のツッコミを持ちつつ、「産婦人科で処女を探すより難しいよ!」「お前は器が小さいよ、台湾の料理か!」みたいな絶妙な例えツッコミもできる。これは僕にとっては七色の変化球のような超一流のツッコミなんです。ね、まるでダルビッシュじゃないですか。あれだけ速いストレートを誇りながら、それぞれ精度の高い変化球も放れるのは、ダルビッシュぐらいしかいないですよ。
――なるほど。ツイッターでも「上田晋也のたとえツッコミ集」というアカウントがあるぐらい、実に多彩な例えツッコミをしていますよね。
だから、最近の若手は上田さんに憧れて例えツッコミを多用したがるのが多いんですよ。でも、それって基本のストレートもなってないのにひたすら球種だけを増やそうとしているのと一緒で、結局は中途半端なんです。まずはストレートとカーブだけで三振を取れるかどうかなんですよ。その点、浜田さんのツッコミは天下一品なんですよね。
――そこで浜田さんとつながるのか(笑)。
僕が言う「変化球」とは、いろいろな言葉を駆使してツッコむタイプなんです。今言った上田さんとか、南海キャンディーズの山ちゃん(山里亮太)とか、フットボールアワーの後藤(輝基)さんとか。でも、浜田さんの場合は言葉のセンスで勝負するんじゃなくて、どストレートに「やかましいわ!」とか、「こいつアホや」って、シンプルな言葉だけできちんと笑いを生み出している。最近ではおいでやす小田くらいじゃないですか? 彼のツッコミを見たときには「ずいぶん、速い球を投げるな」って思ったし、「コイツはまったく変化球を投げないぞ」って面白く感じましたね。同時に「肩壊すだろ、お前」とも思ったけど(笑)。とにかく、正統派で本格派のツッコミができるのが浜田さんなんです。<後編へ続く>
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