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柿谷曜一朗とダミアンのゴールを絶賛、前田大然の袴姿には「自覚」を感じた…水沼貴史が語る「2021年JリーグのFWたち」 

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水沼貴史

水沼貴史Takashi Mizunuma

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photograph byJ.LEAGUE

posted2021/12/17 06:01

柿谷曜一朗とダミアンのゴールを絶賛、前田大然の袴姿には「自覚」を感じた…水沼貴史が語る「2021年JリーグのFWたち」<Number Web> photograph by J.LEAGUE

得点王に輝いたFWレアンドロ・ダミアン。リーグ連覇を果たした川崎で攻撃を核を担った

 23ゴールで得点王に輝いたレアンドロ・ダミアン(川崎フロンターレ)の活躍も素晴らしかったですね。一番記憶に残っているのは埼玉スタジアムで行われた第6節のアウェー浦和戦でのバイシクルシュートです。この試合、5-0の大差で勝利しましたが、前半は緊迫した試合展開でした。迎えた後半、怒涛のゴールラッシュの火付け役となったのが、ダミアンの2点目でした。

 柿谷のゴールと少し似ているのですが、異なるのはトップスピードでゴール前に侵入しているところ。川崎らしいショートカウンターで、ボールを奪ってから繋いだパスはわずか4本。FW小林悠のクロスボールを胸でトラップしたダミアンは、相手DF2人に寄せられながらもしっかりブロックし、ピタッと自分の間をつくった。チームの連係も見事なのですが、最後の“質”がないとゴールは生まれません。シュートに至る過程も含めて、圧巻のひと言ですね。

ブラジル人らしい一瞬のひらめき

 最優秀ゴール賞にノミネートされた湘南戦(第16節)のゴールも、相手DF を背負った状態からボールを浮かしたオーバーヘッドシュート。しかも、試合終盤の緊迫した時間帯で決めた貴重だ同点弾でした。ホーム最終戦でDF山根視来の低いクロスにヒールで合わせたゴールなど、シュートパターンが豊富なのもダミアンの強み。献身的な守備やアシストにも注目が集まりますが、一瞬のひらめきにブラジル人っぽさを感じます。

 チーム残留を求めた川崎サポーターがブラジル国旗とメッセージを掲げたシーンや、最終節でゴールを決めた後に選手たちが駆け寄ったシーンなど、ダミアンのチーム内における立ち位置がよくわかる場面を何度も見ました。

 また、以前に空港で川崎の選手たちと便が一緒になったことがあったのですが、その時にジェジエウやマルシーニョら“後輩”と仲良さそうに会話しているところを見かけました。当然なことかもしれませんが、同じブラジル人選手たちが伸び伸びプレーできるのは、ダミアンのような人格者がいることは大きいでしょう。人柄も良くて、得点も取れる。まさにMVPにふさわしいですね(笑)。

【次ページ】 水沼氏が感じた前田大然の「自覚」

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