水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
柿谷曜一朗とダミアンのゴールを絶賛、前田大然の袴姿には「自覚」を感じた…水沼貴史が語る「2021年JリーグのFWたち」
posted2021/12/17 06:01
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph by
J.LEAGUE
Jリーグは全日程が終了し、今シーズンも残すは天皇杯決勝のみとなりました。今年も素晴らしいゴールをたくさん見ることができたので、今回は2021年のJリーグを彩ったストライカーを中心に振り返ってみたいと思います。
まず、ゴールの話題で言えば、先日のJリーグアウォーズで「最優秀ゴール賞」に選ばれた柿谷曜一朗(名古屋グランパス)のアクロバティックな一撃でしょう。このシュートは個人的にも印象に残ったシーンの1つでした。瞬時の発想力、技術はさることながら、何よりあのシチュエーションに痺れましたね。
ゴールが生まれた11月27日の古巣・セレッソ大阪戦は、大久保嘉人が現役引退を発表してから初の公式戦でもありました。柿谷が「アニメの主人公」と表現したように、彼にとって大久保は小さな頃から憧れた選手でもある。成長した姿を見せる意味でも、「やってやろう」という気持ちが高まっていたはずです。
そんな試合で柿谷は、気持ちだけに終わらず、大久保の前でゴールを、しかも彼にしかできない素晴らしい形で見せつけました。思いを具現化できるのが柿谷の凄さですね。
テクニックの視点から見てもすごいゴールでした。あの狭いペナルティエリアの中でボールを浮かす発想も素晴らしいし、こぼれ球のようなボールに瞬時に反応し、シュートもループ気味に狙った。そういうところの“加減”はまさにセンスですね。人を惹きつけるプレーはやっぱり健在でした。