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「俺が個人総合に出る」の橋本に「負けないぞ」の萱、口に出さずとも北園は…谷川航が語る“体操男子団体メンバーの素顔”
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byShinya Mano/JMPA
posted2021/12/10 11:02
東京五輪で銀メダルを獲得した体操男子団体チーム。左から萱和磨、谷川航、北園丈琉、橋本大輝
「団体戦は流れに乗るのがすごく大事。東京五輪では、それぞれが盛り上げるきっかけを作っていけたと思います。僕は跳馬。予選で失敗していたので、決勝で成功して安心しました」
谷川航と萱はプライベートでも「兄」で、橋本と北園は「弟」
東京五輪ではオンタイムの結束はもとより、オフタイムのムードについても「ベストでした」という。
今回出場した団体4人の平均年齢は21.5歳だったが、年齢構成は谷川と萱が大卒3年目で、橋本は大学2年生、北園は大学1年生と、上2人、下2人というようにはっきり分かれていた。
通常時でも合宿生活ではさまざまな制限があるものだが、今回はコロナ禍で外部との接触を極力避ける「バブル方式」。その分、谷川は、「4人で共同生活をするとどうしてもストレスがかかるので、少しでも軽減させられたらと思い、お互いに気を使わず話しかけたり話しかけられたりできるような雰囲気作りをした」という。
いざ合宿が始まってみると、谷川と萱はプライベートでも「兄」で、橋本と北園は「弟」。
「その関係もバランスが良かったのかなと思いますね。だからやりやすかったのかな」と谷川は語る。
練習では「俺が個人総合に出るんだ」と元気いっぱいの橋本がいて、「お前には負けないぞ」と応戦する萱がいて、口には出さずとも「自分が個人総合に出る」と秘めた思いを醸し出していた北園がいた。彼らに囲まれながら、「僕は、出たいけどそれを口に出す必要はないのかな、というタイプ。そういうのを見て面白いなという感じで見ていた」そうだ。
東京五輪で「銀メダルの悔しさはもちろんある」
結果的には僅差で銀メダルに甘んじ、涙をのんだ東京五輪。パリ五輪に向けては「銀メダルの悔しさはもちろんあるので、さらに頑張れるのではないかと思っています」と言う。