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「俺が個人総合に出る」の橋本に「負けないぞ」の萱、口に出さずとも北園は…谷川航が語る“体操男子団体メンバーの素顔”
posted2021/12/10 11:02
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Shinya Mano/JMPA
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まずは東京五輪について。代表メンバーが決まった6月上旬から7月24日の団体総合予選までの合宿期間中、チームはどのように結束していったのだろうか。
東京五輪団体メンバーの“結束が強まった”きっかけ
合宿には、団体メンバー4人(橋本大輝、萱和磨、谷川航、北園丈琉)、種目別選手(内村航平とW杯ドーハ大会で追加される可能性があった亀山耕平ら)、補欠選手(杉野正尭、武田一志、三輪哲平)が参加した。
「僕らは前々からお互いのことを結構分かっていたので、最初から団結していたんじゃないかと思う」
谷川はそのように切り出しながら、より結束が強まったきっかけについてこう振り返った。
「初回の合宿時にスタッフも含めて全員でミーティングをしたんです。団体の4人、補欠の3人、種目別の選手、スタッフという形のグループディスカッションでした。それぞれが、どういうオリンピックにしたいか目標を明確にして、皆で同じ目標に向かっていくべきだというミーティングでした」
各グループで思いを言葉にした後、次は全体ミーティングに移った。
「何を目指すべきなのか、そのためには今何をやるべきか。それをはっきり確認しあったことでチームの団結力が生まれました。4人だけでなく補欠も含めて、全員でこういう目標でやろうという軸のようなものができたのが、強い結束につながったと思います」
その中で谷川が挙げたのは、「目標は金メダルを獲ること」「そのために一番大事なのは怪我をしないでしっかり試合を迎えること」「練習の時にサポートし合うこと」「しっかり声を出し合うこと」。
こうして、各グループの思いを総合したうえで決まったのが、1964年の東京オリンピックを超えるという意味の「Beyond 1964」というスローガンだった。