「ライセンス取得のための講習で、私は戦術、相手チームの分析方法はもちろんのこと、チームマネジメントのやり方、クラブ経営とマーケティング、スポーツ心理学など選手時代には知りえなかった多くのことを学んでいる。ライセンスを取るには時間もお金もかかるが、自分にとっては非常に有益だと考えている」

――ブラジルで選手を指導していて、最も苦労する点は？

「チームの勝利を最優先する意識を選手に植え付けることだね。ブラジル人選手は我が強く、自信家で、自分のプレーをアピールすることを強く意識している。

　それは長所でもあるが、チームの勝利のためにはマイナスとなることがある。守備をしないFW、他の選手が自分より良いポジションにいるのに強引にシュートをするアタッカー、自分がマークすべき選手を放り出して攻撃に飛び出すDF……。こういった選手に、チームの勝利のためにプレーする意識を植え付けるのは簡単じゃない。自分が目立つことよりチームの勝利を優先する意識が叩き込まれている日本人選手とは真逆なんだ（苦笑）」

――将来、Jリーグのクラブで監督、コーチを務める気持ちは？

「もちろんあるよ。そうなったら最高だね」

2年前に見た久保、三好、中島は素晴らしかった

――最近の日本代表の試合は見ていますか？

「現在のW杯アジア最終予選は、ほとんど見ていない。日本代表は、2019年にコパ・アメリカに招待出場をした試合を見たのが最後かな。最初のチリ戦では躓いたが（0-4で敗戦）、ウルグアイと引き分けた試合（2-2）は素晴らしかった。久保（建英／現マジョルカ）、三好（康児／現ロイヤル・アントワープ）、中島（翔哉／現ポルティモネンセ）らが素晴らしいプレーをしていた。若手に才能豊かな選手が多いのを心強く思った」

2019年コパ・アメリカで見た久保と三好には好印象を持ったようだ　©AFP/AFLO

――現在の日本代表は、吉田麻也（サンプドリア）、冨安健洋（アーセナル）を中心とする守備陣はまずまず安定していますが、得点力不足で苦しんでいます。

「昔から、ずっと同じ課題を抱えているね。日本人FWは俊敏で、技術レベルも高い。マーカーをいかに出し抜くかを常に考え、チャンスをつかんだら落ち着いて、自信を持ってシュートしなければならない。

　Jリーグでは外国人FWが多く、日本人の若手FWの出場機会が少ない。そのことも、優れた日本人FWがなかなか出てこない原因の1つだろう」

――どうすれば、自信を持ってシュートを打てるようになるのでしょう？

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