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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
久保建英が“鉄壁アトレティコDF”をミスらせた 今季初ゴール写真に感じる「タケの厄介さ」とは〈撮影者の視点〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2021/12/06 17:05
決勝点に喜ぶ久保建英と、悔しがるアトレティコ守備陣。写真を見るだけでもこのゴールの価値がよく分かる
試合終了間際の完璧な抜け出しからのゴール
そしてアディショナルタイム、アトレティコボールのFK。マジョルカ相手には是が非でも勝ちたいアトレティコはかなり前がかりなポジションを取っていました。
そのクリアボールを頭でアンヘルにつないだ久保が、そのまま駆け上がる。するとアンヘルから絶妙のパスが、最後尾に残っていたマルコス・ジョレンテを越えて久保の元に通ります。
抜け出した久保はスピードを落とすことなくコントロール。最後はアトレティコのコケが必死に詰め寄ってきたものの迷いなくシュート。オブラクの股下を抜けたボールは、チームに勝ち点3をもたらす貴重な勝ち越しゴールとなりました。
アトレティコキックオフの際には、アンヘルに向けてでしょうか。カメラ越しには見ることができませんでしたが、もう一度満面の笑みを浮かべていました。
最後のCK、オブラクも上がりましたが、得点は奪えませんでした。アウェイの地にいたマジョルカファンも勝利を確信し、盛り上がりを見せていました。
試合終了後、まず同点ゴールのルッソと決勝点の久保が抱き合います。その後、チームメートにモミクチャにされながらも笑顔を浮かべ、ベンチ外のラゴ・ジュニオールの元にも駆け寄っていました。
久保はチームを代表してフラッシュインタビューに答え、その後は客席のマジョルカファンと写真を撮るなどファンサービスをしていました。
“久保にボールを触らせたくない”という判断
得点シーンでのマルコス・ジョレンテを置き去りにする写真を見返してみて、ボールに飛びつかずに久保についていったら、局面は変わったかもしれないなと思いました。
なぜ飛びついてしまったのか。疲れからくる判断ミス、フルにジャンプもできなかったのかもしれませんが“久保にボールを触らせたくない”という判断も要因にあったのではないかと思います。
久保が負傷をしたマドリー戦で撮影したワンシーンを思い出しました。
あの試合でも、対面だったミゲルが目測を誤ってボールを被ってしまい、サイドに張っていた久保が抜け出すシーンがありました。
“リーガで戦うようなレベルのDF陣であっても、久保に渡してしまうと厄介になってしまう。なるべく久保に渡る前にカットしたいという気持ちを過度に持たせることで、自分のペースを作っているのかもしれない”
なんてことを1枚の写真から想像するのもまたサッカーの楽しみとして、やってみてほしいです。