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「クーボ! クーボ!」大歓声が何度も… 久保建英を撮影カメラマンが見た希望の光《古巣ヘタフェからも復帰祝い》
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2021/11/30 17:00
ついに戦線復帰した久保建英。ピッチに入る前も様々な表情を見せていた
「クーボ!」の歓声と、起点になる攻撃力
後半に入っても、お互いなかなかボールを保持する時間を作り出せない展開の中、マジョルカのイ・ガンインは体を張ったプレーでボールを収めようとします。
アンヘル・ロドリゲスやダニ・ロドリゲスがヘタフェゴールに迫りますが、大きな決定機とはなりませんでした。そんな中、後半開始後、ピッチ脇で久保を含めた攻撃陣3人がアップを始めました。
すると、こう着状態が続く展開を打破するために、観客席からは「クーボ! クーボ!」という歓声が響きました。
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そして迎えた68分、監督、スタッフから指示を受けた久保が交代要員としてピッチ脇に登場すると、改めてファンからの大きな「クーボ!」という大歓声が起きました。ピッチに一気に駆け込んだ久保には、昨季一緒にプレーしたアレニャら、ヘタフェの選手からも声がかけられていました。
久保と縦の位置関係のマフェオや、中盤で隣に立つイガンインなどと声を掛け合います。相手陣内でのファーストタッチでは、右足でトラップをしてから左足で中にカットインで切り込みました。
また裏のスペースにアブダンを走らせるパスは長すぎました。サイドだけでなく、ゴール前にも顔を出しますが、パスが出てきません。
深い位置から左足で送るクロスに対してはアブダンが一歩届かず、久保は悔しがっていました。
その後もピッチ中央からドリブルで駆け上がり、ダブルタッチからスルーパスを狙う場面があったものの、DFにひっかけられてしまいました。
古巣ヘタフェの選手からも復帰を祝われていた
マフェオのクロスに飛び込むアブダン。久保は何度か欲しいタイミングでボールをもらえず、苛立ちを見せるようなシーンが見られました。シーズン序盤、久保を含めて良い攻撃をしていたことを忘れてしまったかのようでした。
勝ち点3をチームにもたらす活躍はできませんでしたが、試合を撮影している体感として五分五分の展開の中、久保が出場したことによって右サイドに起点を作ることができ、マジョルカの攻撃が活性化したことは明らかでした。
マジョルカは久保が欠場した8試合を1勝4分け3敗と苦しんでおり順位を下げています。その状況を打開するため、大きな希望になりうる復帰戦でした。
久保自身も試合勘を取り戻していくこと、90分フルで戦うためには徐々に慣らしていくことが必要だと思いますが、週中にカップ戦を挟んで次節はアトレティコ・マドリー戦となるだけに、期待をしたいところです。
なお試合終了後には、昨季チームメイトだったヘタフェの選手たちが久保の復帰を祝っているようでした。