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超ポジティブな浅野拓磨も「緊張する」と語るアジア最終予選の緊迫感 ハイレベルなドイツで追求する日本代表に必要なプレーとは?
posted2021/11/30 17:01
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
11月11日と16日にアウェイで行われた、ワールドカップアジア最終予選。日本代表はベトナム、オマーンをともに1-0で退け、ワールドカップ出場権を手にできる2位まで浮上した。一時は4位に落ち込み出場が危ぶまれたことを思えば光明が差したと言えるが、すべてが順調というわけではなく、試合運びや試合内容に一抹の不安を感じさせるところもある。
そんな日本代表の戦いぶりについて、ボーフムでプレーする浅野拓磨が答えてくれた。オマーン戦の4日後、11月20日のレバークーゼン戦後のミックスゾーンでのことだ。
1点は全員の1点、1人の貢献は全員の貢献
「みんな言葉では言い表せないくらいの覚悟をもって準備していました。もう、結果どうこう内容どうこうではなく、試合に勝てたことがすべてかなと思います。どちらも(ベトナム、オマーン戦)間違いなく難しく、厳しい試合になるということは全員がわかっていました。思い通りにいかないなんてことは、もう百も承知で……。
結果、誰が活躍しても、誰が良いプレーをしても、誰がミスをしても、みんなチームが勝つために戦えているということを、今回の2試合で感じられました。僕は普段だったら味方が点を取ったら正直『くそッ』っていう気持ちもあるんですが、今回は違った。厳しい試合になればなるほど、1点は全員の1点やし、1人の貢献が全員の貢献なんです」
最終予選には魔物が棲んでいる。そんな表現をされることがよくある。額面上の戦力を反映した試合にはならない。アジアの場合、さらにホームとアウェイで環境が180度違う。長時間移動による疲労と時差に加え、アウェイの洗礼も待ち構える。
普段のリーグ戦からのメンタルと思考の切り替えが必要になるし、トレーニングをする時間もほとんどない。当然、プレッシャーとストレスは計り知れない。
その厳しさを誰もが口にするが、そんなことは承知のうえで結果を残すのが代表戦士の使命である。とはいえ最終予選の特有の難しさは、経験した者にしか分からない。
「僕たちも何が難しいのかと言われたら……言葉で伝えることはできません。やっぱり、一人ひとりいろいろな要素が絡み合っていると思います。全員一緒ではないと思いますし。(普段はポジティブ思考な)僕でも緊張したり、責任を感じたりしてますから。僕以上に繊細な人は、より感じるところが多いはずです」