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「トミ、アーセナルでの時間を楽しめ」 冨安健洋と“同い年の天才MF”のアツい友情《英国識者はコミュ力+アシストを絶賛》
posted2021/11/29 17:02
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
Stuart MacFarlane/Getty Images
「美しい。実に美しいゴールだ。素晴らしいフィニッシュ、素晴らしいクロスだ」
そう絶叫したのは、現役時代にレアル・マドリーやリバプールで活躍したスティーブ・マクマナマンである。テレビ中継の解説を担当した49歳の元イングランド代表MFは、後方から飛んできたクロスにダイレクトで合わせ、華麗にネットを揺らしたFWガブリエウ・マルチネッリの技術を激賞した。
さらに、柔らかいクロスボールでゴールをアシストしたDF冨安健洋を「FWの動きから目を離さず、足元にボールをしっかりと届けた」と褒めたのだった。
初アシストを含めて攻撃参加が特に目を引いた
11月27日に行われたプレミアリーグ第13節のニューカッスル戦で、アーセナルの冨安は4-2-3-1の右サイドバックとしてリーグ10試合連続となる先発出場を果たした。
この試合で、絶妙なクロスでアーセナル移籍後初となるアシストを記録。最下位のニューカッスルが自陣で守備を固めてきたこともあり、SBの冨安はこれまで以上に攻撃参加で大きな役割を果たした。また守備でも存在感を示し、マッチアップした左MFアラン・サン・マクシマンを完璧に封じた。ニューカッスルの攻撃のキーマンである爆速ドリブラーを抑え、攻守両方で2-0の快勝に貢献したのである。
この試合で、特に目を引いたのは冨安の攻撃参加だった。
先述したように、ニューカッスルは相手ボールになると4-4-2の陣形で守備ブロックを構築した。対するアーセナルがマイボールになると、冨安はスルスルと駆け上がり、ボールを受けてパスワークに参加。攻撃に厚みを加えた。
ポジション取りも秀逸だった。対峙した左MFのサン・マクシマンが中寄りにポジションを取る場面が多く、冨安はスペースの空くタッチライン際(大外レーン)でパスを受け取ることが多かった。
状況に応じて臨機応変に動ける戦術眼の高さ
ただ、闇雲にタッチライン際を上下動したわけではなく、状況に応じて臨機応変に動いた。
大外のレーンに味方の右MFブカヨ・サカがいれば、冨安はその内側のレーン、つまり「相手SBとCBの間のスペース」にフリーランを仕掛けて敵を混乱させた。ある時は大外、ある時はその内側のレーンへ──。イングランド代表のサカと良質のコンビネーションを奏でながら、冨安は攻撃に参加するエリアを上手に使い分けた。