スーパーゴールを決めたマルチネッリはコーナー付近まで突っ走り、ゴールの喜びをサポーターと分かち合っていた。アシストした冨安も走りながらその輪に加わろうとする。すると、冨安に気がついたMFマルティン・ウーデゴールが「ナイスアシスト！」と言わんばかりに笑顔で日本代表DFを指差し、2人はハイタッチして喜び合った。

　冨安のアーセナル入団時、真っ先に優しい言葉をかけたのがこのウーデゴールだった。

「とにかくアーセナルでの時間を楽しめ。ここでのプレーを楽しむんだ」

10代から“天才”と呼ばれたウーデゴールと、冨安は良好な関係のようだ　©Getty Images

「ウーデゴールには特に感謝している」

　ウーデゴールの励ましに、冨安はナーバスになっていた気持ちが少しばかり和らいだという。「ウーデゴールには特に感謝している」と、後に冨安はインタビューの中で明かしている。

ファンにユニフォームを手渡す冨安　©Getty Images

　サッカーで「プレーを楽しむ」とは、自分らしいプレーをピッチで表現することに他ならない。アシストの場面で、冨安はマルチネッリの動き出しを瞬時に感じ、スペースに走り込む彼の足元にピタリと合わせた。加入から約3カ月が経過し、チーム戦術や味方の特徴も理解するようになった今だからこそ、あの美しいゴールとアシストが生まれたのだろう。今、冨安はプレーを存分に楽しんでいるように映る。

　マルティネッリがチームメートにもみくちゃにされる中、ウーデゴールと冨安が見せたささやかなセレブレーションに、筆者は思わず心を打たれた。

　23歳のサムライは一体どこまで進化していくのか。期待はますます膨らむばかりだ。

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