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西武《最高のドラフト》のウラ側…潮崎ディレクターが語る1位公表の理由と投手育成の課題「アマとプロの実力差が開いている」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKYODO
posted2021/11/22 11:01
潮崎ディレクター(左)が「1位じゃないと獲得できない」と感じていた筑波大・佐藤隼輔をドラフト2巡目で指名。“最高のドラフト”と評価する声は多かった
ただし隅田の1巡目指名が決まるまでは、大いに頭を悩ませたと潮崎氏は明かす。同じように1巡目の候補に挙がっていたもう一人の投手、筑波大の佐藤と、隅田のどちらを選ぶかで議論が重ねられていた。
「今年の春先、神宮球場で筑波大の佐藤投手を実際に見たのですが『この投手は1位じゃないと獲得できないな』と感じました。それだけの逸材だと思いました。最後まで1位指名を隅田にしようか、佐藤にしようかと迷ったことは確かです」(潮崎氏)
では“隅田1巡目”の決め手となったのは、なんだったのだろうか。
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「隅田に対する周りの評価や、九州担当のスカウトの評価が高かった。私は4年生の春のリーグ戦で初めて投球を見たのですが、まず最初にピッチングが完成されているピッチャーだという印象を受けました。コントロールがよく、変化球も扱え、頭がよくてスケールの大きな投手だと思いました」(潮崎氏)
投手としての完成度を重視し、隅田を選択した。
「どちらか一人でも獲得できればよかったというくらい、2人とも甲乙つけがたい投手でした。佐藤もドラ1クラスの才能を持っている。そんな佐藤が、まさか2巡目まで残っているとは思っていなかったので、こうして2人が同じユニフォームを着てくれるなんて……と驚いています」
開幕一軍は「そこまで焦っていない」
最後まで迷った2名の投手を、1巡目と2巡目で指名することができた。同様にドラフト3巡目で指名した中央大の古賀悠斗捕手も、編成会議では高く評価されていたものの「まさか3巡目まで残っていてくれているとは思わなかった」と潮崎氏は振り返る。
インタビューの冒頭で「最高のドラフト」と顔をほころばせたのもうなずける結果だ。
「隅田と佐藤は、能力的には2人とも先発ローテーションで回れるような投手。将来、2人が先発ローテーションで投げる姿が、私の頭には映像として思い浮かびますよ。順調に、怪我なく、プロ野球の世界に順応できれば、それも実現すると思っています。開幕一軍? そうですね。大学卒で入るので、本来であればそうなってほしいですが。ただ、我々スカウトとしてはそこまで焦ってはいないのが正直なところです」