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内田篤人も驚く“とんでもない化け物”17歳チェイス・アンリ(尚志高)が秘めるデカすぎる可能性「バックボーンを誇りに思っている」 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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posted2021/11/10 11:01

内田篤人も驚く“とんでもない化け物”17歳チェイス・アンリ(尚志高)が秘めるデカすぎる可能性「バックボーンを誇りに思っている」<Number Web> photograph by Takahito Ando

チームを選手権出場へ導く決勝ゴールを奪ったDFチェイス・アンリ(尚志高・3年)

 さらなる成長を遂げて迎えた、選手権福島県予選。昨年大会の準決勝で敗れた学法石川との因縁の対決となった決勝戦で、アンリは攻守において圧倒的な存在感を見せる。空中戦では負けなし。相手の意図を読み取った正確なシュートブロック。圧巻は1-1で迎えた後半アディショナルタイムだった。

 相手のCKを凌いだ尚志はカウンターを仕掛けた。右サイドに展開されたボールに対し、アンリはポッカリと空いた左中央のスペースへ80mの激走。MF草野太貴の折り返しを受けると、シュートブロックに来た相手DFの足の位置を冷静に見極め、股の下を破る左足シュートをゴール右隅に流し込んだ。このゴールが決勝弾となり、土壇場で2年ぶり12回目の選手権出場を手にした。

「普段はあんな距離を走ることはほとんどないのに、あの瞬間に『俺が決めなきゃ』と思って、気づいたら全力でスプリントしていました。このまま終わってしまうのが絶対に嫌で、何が何でも80分(40分ハーフ)で決めるという気持ちが身体を動かしてくれたと思います」

 試合後のヒーローインタビューではスタンドに応援に来ていた両親へ「ありがとう!やったよ!」と誇らしげに手を振りながら、感謝を伝えた。仲間たちと喜ぶその笑顔は青年そのものだが、その後は表情を引き締めてこう語った。

「冨安さんも驚くようなスピードで成長していったと聞いたことがあります。僕も冨安さんを目指すなら、学年が下とか飛び級とか言っていてはダメだと思うんです。同じようにやらないといけない」

 冨安というお手本は、アンリにとってライバルでもあり、いずれ最高のパートナーになる存在かもしれない。国内では希少価値の高いCBの選手であることは彼自身、理解している。だからこそ、自分が持つルーツと環境に感謝しながら、貪欲に成長を欲している。

「自分のバックボーンを誇りに思っている」

「日本の中でもユニークなプレーヤーであることは自覚しています。日本とアメリカの両親がいて、伸ばしているヘアスタイルも僕のポジティブな部分。オンリーワンだと思っています。

 お父さんのおかげでこの身体能力があると思っているし、お母さんのおかげで日本の文化をよく知ることができて、日本語と英語の2つの言語も話せるようになった。そして日本のおかげでサッカーが上達することができた。もし、あのままアメリカにいたら、多分サッカーをやっていないし、バスケや野球など他のスポーツをやっていたと思いますから。

 自分のバックボーンを誇りに思っていますし、そこに甘えないで、もっと成長するために長所を磨いて、ミスをちゃんと反省して、ナショナルチームに入りたいと思っています」

 高校最後となる選手権は100回目の記念大会。きっと大きな注目を集める存在の一人になるだろう。それでもアンリは変わらず、日本で得たかけがえのない仲間とともに最後の1秒まで切磋琢磨を続けていく。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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