“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
内田篤人も驚く“とんでもない化け物”17歳チェイス・アンリ(尚志高)が秘めるデカすぎる可能性「バックボーンを誇りに思っている」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2021/11/10 11:01
チームを選手権出場へ導く決勝ゴールを奪ったDFチェイス・アンリ(尚志高・3年)
そんな恵まれた環境下で日を追うごとにぐんぐん成長していくアンリは、第16節でトップチームの一員としてプレミアリーグデビューを飾ると、1年生ながらその年の選手権メンバーにも選ばれた。チームは当時エースだったFW染野唯月(鹿島)の不在が響いて初戦敗退を喫したが、アンリは同試合で途中出場を果たして“全国デビュー”。わずかな出場時間だったものの、圧倒的な存在感と空中戦の強さにスタジアムは何度もどよめいた。
その後の20年2月には、U-17日本代表に初選出。とんとん拍子でシンデレラストーリーを駆け上がっていった。
「彼の凄さは言われたことをしっかりやることで、経験を積めば積むほど責任感や自覚が出てきて、ミスをした後もきちんとスタッフとディスカッションができる。課題を明確に把握できるからこそ、必要な力を吸収していけると思います」(仲村監督)
理想はファン・ダイク、海外経験で得たもの
昨年度の選手権は県予選で敗退し、怪我にも悩まされるシーズンとなったが、離脱中でもサッカーを学ぶ姿勢は変わらなかった。
「個人的にリバプールのCBファン・ダイクのプレーをすごく参考にしています。ヘッドが強く、1対1で負けないし、フィードも正確で全てが素晴らしい。チームではドルトムントの縦に速いサッカーも参考にしました」
最終学年となった今年になると、課題としていたビルドアップ面でも大きな変化があった。最終ラインからシャープなスウィングで正確な縦パスを送り込み、ターゲットとなるFWへコントロールされたフィードを送るなど、攻撃の起点として機能するようになった。
さらにこの夏、新たに成長する機会を得た。7月にAZ(オランダ)のU-23チームとボルシア・メンヒェングラードバッハ(ドイツ)のU-19チームの練習に参加。AZではライプツィヒ(ドイツ)、アヤックス(オランダ)といった強豪クラブとの練習試合を経験し、自分の力が通用するという手応えも掴んだ。また、英語を難なく話せることに大きなアドバンテージを感じたという。
「海外に来た、という感覚はなかった。アメリカでもスペイン系の友だちも多いので、いろんな人種がいることは当たり前の感覚でしたし、違和感なく、ただ『他の国だな』と思えた。(サッカー面では)ヨーロッパのレベルは高く、挑戦したいという気持ちはより強くなりました」