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<鈴木誠也メジャー流出?>「中継ぎ起用と機動力野球の復活」佐々岡監督が“自覚”する来季カープ浮上のカギとは?
posted2021/11/09 11:02
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
KYODO
シーズン終了から6日の休養を挟み、3年連続Bクラスに終わった広島が来シーズンに向けて始動した。
今季は東京五輪による日程の遅れや、新型コロナウイルス感染のリスクを考慮して、本拠地マツダスタジアムで14日間の短期集中で秋季練習が行われる。1クールに1度、紅白戦を実施。来春の一軍キャンプ切符を競わせるなどチーム内の競争意識を高め、底上げを図る。
シーズン最終戦翌日の2日、オーナー報告を終えた佐々岡真司監督が口にした課題から広島浮上の鍵が見えてくる。
「ピッチャーはまだまだ整備するところがあります。(勝ちパターンを)固定できるような選手が出てくれば。そこに新外国人が入ってくるかとかね。一番悩むところだと思う。固定して、60、70試合投げて1年だけでもいけない。一番は、力のある投手がうまく、中継ぎでローテーションじゃないけど、うまく回せればというのもある」
投手力の底上げ、再整備は、佐々岡広島にとって重要課題といえる。チーム防御率3.81はリーグ5位。ただ、クオリティースタート率58%はリーグトップだ。FA権を取得した大瀬良大地と九里亜蓮の去就が未定ながら、2試合に1回は試合をつくれる先発陣を考えれば、強化ポイントは明確、中継ぎということになる。
いまだ見つからぬ「勝ちパターン」
監督就任から2年、勝ちパターンを一度も確立できていない。今季は新人の栗林良吏が守護神として絶対的な存在となっても、8回までの形が固定されなかった。
勝ちパターンは選手にとっては勝ち取るものである一方、首脳陣にとってはつくるものとなる。たとえば、セ・リーグを優勝したヤクルトは、シーズン終盤から先発の田口麗斗やスアレスを中継ぎに配置転換し、厚みを獲得したようにみえた。佐々岡監督が「中継ぎでローテーション」と理想を描くならば、配置転換も含めて中継ぎ陣の底上げが必要となるだろう。
中継ぎ防御率がリーグ4位の3.50だった広島は、中継ぎ起用に偏りがあった。今季セ・リーグでブルペン入りした中継ぎ投手は広島が最も少ない16人。最終戦で登板した床田寛樹を含めても、リーグ最少だ。中継ぎ防御率2.92の中日でも18投手でやりくりしていた。