ミッションを掲げた春からSNSを使って積極的にデータ分析の重要性と面白さを発信してきたが、自分の発言が影響力を与えていることを実感し、アナリストへの夢が膨らんだという。ツイッターには数々のDMが届くようになった。特にうれしかったのは高校生からの問い合わせだ。

「ケガをして選手からスタッフに転向した経緯や、月1000円の使用料を払ってパイソン（プログラミング言語）を勉強したという話、高校生が高額なトラックマンやラプソードに触れられる機会はめったにないから、大学や企業のインターンとしてアプローチしてはどうか、という具体的なアドバイスを同じ目線に立って返答しました」

「知力でさらに後押ししてみたい」

　アナリストという職業がもっと憧れられる仕事になっていって欲しいと思っている。データと現実の齟齬と、これからも戦い続けながら。

「4年間負けを経験しながら、前を向く力はついていたと思う。勝てなくても、僕のデータを信じてくれたチームメイトがいたから、僕も頑張れた。選手たちがグラウンドで体現しようとしてくれて、ありがとうと言いたいです。東大で大きな実力差を知力で埋めていくのも面白かったですが、これからは実力のある人たちを知力でさらに後押ししてみたい」

　進路先は非公開だが、アナリストとしての道は拓いていけそうだと言う。実力と知力を融合させ、野球の面白さをもっと深く、追求していく。